時代はプレイステーションへ
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1994年12月、それまでシェアNo.1だった任天堂を覆すゲームハードが登場しました。それが初代プレステです。現在のハイエンド機の潮流を作るきっかけとなったプレイステーションは、累計販売台数1億台にまで到達。ファイナルファンタジーは任天堂ハードからソニーハードに乗り換え、より美麗な世界観構築と、近未来的世界観へ方向性をシフトするという変化が起こります。スクウェアの3DCGデザイン能力の高さが、いよいよ世界に知れ渡ることになります。
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日本代表サッカーが初のワールドカップ出場を決めるなどの賑やかなニュースの中、消費税率が5%に引き上がり、山市証券が倒産してしまうなど、財政、経済においても一つの転換期となった1997年にファイナルファンタジー7は発売されます。5の頃から発達した機械文明的なものが見え、6では蒸気機関による技術発達によって人々が生活していましたが、まだ西洋ファンタジー的世界観が残っていました。しかしFF7になると、西洋的な要素はおまけ程度にしかありません。
星の生命力である「魔晄(まこう)」をエネルギーによって発展を遂げた巨大企業「神羅カンパニー」が牛耳る科学文明都市ミッドガルから物語は始まります。権力者と庶民の二極化、東洋的世界観が近未来的な街のいたるところに散りばめられているなど、80年代のサイバーパンクSFに通ずる世界観は、「ファンタジー=中世西欧文化における剣と魔法と冒険」という図式を打ち壊しました。人的災害や企業の陰謀、星の生命力である「魔晄」を主軸においたストーリー展開も、今までのFFとは一線を画す作品に仕上がっています。
また、シリーズ内でも屈指の人気を誇り、コンピレーション・オブ・ファイナルファンタジー7というスピンオフキャンペーンを展開。「ファイナルファンタジー7 アドベントチルドレン」という映像作品や、前日譚「クライシス・コア ファイナルファンタジー7」、後日譚「ダージュ・オブ・ケルベロス ファイナルファンタジー7」など、発売後にも人気コンテンツとして非常に息の長い作品になりました。2015年にはPS4によるフルリメイクが決定し、ティザームービーも公開。注目と期待が集まっています。
FF8-賛否両論?気合の入った制作による映像美は流石!
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「アルマゲドン」や「スター・ウォーズ エピソード1」などのSF大作が日本でもヒットし、音楽業界ではだんご3兄弟が社会現象になり、アップルがiBookを発売したりと21世紀まであと僅かとなった1999年の2月、ファイナルファンタジー8がプレイステーションで発売されます。前作のFF7によってFFブランドが確固たるものになり、国内の売上はFF7を超える369万本のセールスを達成します。(FF7は328万本)
製作段階から前作の倍以上の予算をかけ、ハリウッドとの連携、200人以上のスタッフと大規模プロモーションを展開しました。この頃からイメージイラスト、ゲーム内のキャラクターもリアル志向になり、FF10以降のキャラクターデザインの方向性もこの8の影響があるのではないでしょうか。
今作も魔法、というより魔女の存在が作品全体を通して描かれており、このことはFF6以降のファイナルファンタジーに特徴的であるともいえます。兵士養成学校の「バラムガーデン」に所属するスコールが主人公。ところで、FF8までの主人公は基本的に心に闇を抱えまくっています。FF4のセシルは暗黒騎士ですし、FF6は登場人物全員主人公ですが、暗い過去を背負ってもなお戦いに見を投じていたり、FF7のクラウドも詳しくは言えませんが、いろいろあって人をあんまり信用したがりません。FF8スコールも例に漏れず、心を閉ざしあまり人と関わろうとしたがらないというクールキャラです。しかし、ガーデン所属特殊部隊Seedへの配属が決まり、その夜の就任パーティで出会ったリノアというキャラクターと出会うことで、次第に心を開けるようになっていきます。FF8は戦闘システムやテンポの悪さなどが指摘され賛否両論のゲームなのですが、シナリオは凝っていると個人的には思いますので、お時間がある方は是非やってみてください。
FF9―「原点回帰」「生命賛歌」
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FF8からさほど間を開けず、2000年にはファイナルファンタジー9が発売されます。イチローが日本人として初のメジャーリーガーになり、今ではどこに行ったのか、2000円札が発行され、私も大好きな感動映画である「グリーンマイル」が公開された年でもあります。
FF7,FF8の世界観は近未来的出会ったのに対し、FF9は「原点回帰」をテーマにFF1~6の西洋ファンタジー要素を全面に押し出し、7以降の世界観が苦手であったファンからも一目置かれるソフトになりました。キャラクターデザインはFF7,8の見る影もなく、児童文学的な可愛らしい雰囲気ですが、もう一つのテーマ「生命賛歌」が掲げられているお陰か、考えさせられるストーリーに仕上がっています。FF7,8ほど重苦しいものではないのですが、命とは何かということを、特に黒魔道士のキャラクター「ビビ」からは教えてもらえるでしょう。ここで語りだすとひたすらに長くなってしまうので書きませんが、それほどまでにFF9のストーリーは洗練されていると思います。FF8の賛否両論効果も相まって、国内の売上は282万本と落ち込んでしまいましたが、ゲーム対象優秀賞他に部門受賞、ザ・プレイステーション・オブ・ザ・イヤーで第1位と、2000年度のゲームのトップに君臨しました。こちらもiOSやSteamなどで高画質版として配信されるなど、様々なプラットフォームで遊べますので是非やってみてください。
次回はFF10~FF12を取り上げます!いよいよ時代はプレイステーション2へ。今見ても美麗なFFワールドへどんどん進化していきます!バトルシステムなどにも大きな変化がありますので、興味のある方は次回をお楽しみに!