ゲーム業界 ニュース カプコンが社員用の保育所、塾を会社に設立すると発表

記事を読んでいただき有り難うございます。今回の記事ではゲーム業界についての大ニュースをお届けします。今回取り上げるのは大手ゲームメーカー、カプコンについての話題です。カプコンは、社員向けに子育て支援を拡大することを発表しました。カプコン本社の近くには社員向けの保育所が設置され、さらに学習塾も併置されるということが発表されました。

TY「中学受験まで面倒を見る」

思い切った制度変更をしたカプコンですが、背後にはどのような意図があるのでしょうか?この権威についてカプコンの辻本憲三社長は、「社員の子供が中学生になるまで面倒を見たい」と発言しています。

カプコンは子育て支援制度により、社員のワークライフバランスを推進し、より優秀な人材の採用にも繋げて行きたいと言う事を述べています。安心して子育てが出来る会社、というのは確かに不安定な現代においては魅力に映るでしょう。地域社会が形骸化し、核家族だけで子育ても仕事も回すしかなくなりつつある状況の中で、こうした制度は開発者にとって非常に助かるものになるはずです。

 SKゲーム業界の実態

今回の記事に関連して、とても興味深い記事があったのでご紹介します。日経新聞の記事で、ゲーム開発者の平均年収や既婚率について実態調査をした記事です(左図をご覧下さい)。ゲーム開発者の既婚者は全体の40.7%で、年齢別に既婚率を見ると20代が9%、30代が47.8%、40代が67.9%、50代が62.5%となっており、全国平均を下回っています。要因としては業界全体として9割近くが男性であり、女性と知り合う機会が少ないこと、繁忙期が頻繁にあり労働時間が長期化しやすいことなど、恋愛や結婚生活を妨げる事情があるとこの記事は述べています。

ゲーム業界の他の特徴としては、「年収が他の業界よりも高い」、「仕事に対する満足度が高い」ということがあります(ゲーム業界の平均年収は429万円で、全国平均より89万円高い)。この記事からは、日本のゲーム開発者の実像が浮かび上がってきます。すなわち、「仕事には満足しているし、好きで長時間続けてしまうけれど、プライベートはおざなりになりがち」というものです。ゲーム業界は平均年齢が30歳半ばであり、他の業界に比べれば比較的に若い業界ではありますが、年々高齢化が進んでいます。今の時点では仕事が優先の人も、やがては家庭を作るのかどうか、ということを考える時がやってきます。現在のままでゲーム業界は大丈夫なのでしょうか。

shutterstock_275114744-330x218ゲーム業界におけるワークライフバランスについて考える

超大手企業であるカプコンが、このような改革に取り組むことは業界にとって大きな影響があると思います。ゲームを作る上で、プライベートも犠牲にせず、バランスをとることが当然である、という意識が業界に広がっていくのではないでしょうか。

先進国間では働く時間を減らし、子育てや地域貢献をする時間を増やすべきだ、という議論が交わされています。例えば共働きの家庭が8割を越えているフィンランドにおいては、午後4時、遅くとも6時には帰宅し、家族と過ごす時間に充てているという家庭が一般的です(参考記事)。日本においても、民進党が労働時間の短縮とワークライフバランスを推進する政策を提唱しています。各国とも、生産人口の減少と成長率の伸び悩みという共通の課題があり、福祉と労働生産性を両立することが課題になっています。今回のカプコンの例のように、個人のライフスタイルと、社会を健全な状態にすることと、会社にとってもプラスな解決策を探して行く必要があります。カプコンの例は、ひとつのモデルケースになるのではないでしょうか。