アニメ ゲーム マンガ TPP問題「2次創作、同人誌は非親告罪の対象外」と安倍首相が答弁

アニメゲーム漫画業界において、このTPPの合意によって最も影響を受けると考えられているのが、2次創作による著作権侵害、特にこれが権利者からの申請ではなく、関係機関が独自に権利を行使できる非親告罪になるかということが焦点となっています。そして先日の国会討論で安倍首相が、国会答弁にて見解を述べたため記事にしております。

「2次創作、同人誌は非親告罪の対象外」 安倍首相が国会答弁で見解
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/11/news087.html

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引用始め
安倍晋三首相は4月8日の衆議院特別委員会で、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)締結に伴い著作権侵害が権利者の告訴なしに起訴できる非親告罪になることに対し、「同人誌は非親告罪とはならない」との見解を述べた。

中略

 TPP合意を踏まえた改正後の著作権法で、非親告罪の対象となる要件については「(1)対価を得る、(2)権利者の権利を不当に害する、(3)原作のまま譲渡する――の全ての条件を満たした場合に限る」とし、パロディーなどの2次創作活動を萎縮させない方針を述べた。
引用終わり

アツい演出を作り上げるのはユーザーとしても楽しむ心日本における2次創作・同人誌市場動向

日本における二次創作・同人誌の市場規模は2014年の段階で732億円(2014年 矢野経済研究所調べ)、当時の電子書籍の市場規模が850億円、電子コミックスだけで比較すれば、650億円ということを考えればかなり大きな市場規模であることがわかります。そんな2次創作の市場ですが、最も有名なのが、毎年、夏と冬に3日間ずつ開催されるコミックマーケットです。一回の開催(3日間)で約50万人以上が参加する日本で最大級のイベントです。そう言った大きなイベントがあれば、一方で、ある作品のあるキャラクターに焦点を当てたようなプチオンリーイベントも多数催されています。そう言ったものを含めれば毎年、1000回程度、土日祝日を中心に全国各地で開かれており、毎年新しい企画のイベントが増えてきています(コミックマーケット準備会提出資料)。

shutterstock_94276708とりあえずは一安心?

「(1)対価を得る、(2)権利者の権利を不当に害する、(3)原作のまま譲渡する――の全ての条件を満たした場合に限る」とし、パロディーなどの2次創作活動を萎縮させない方針ということもあり、コミックマーケットを始めとした2次創作のイベントの中止という事態は回避できそうです。政府の方針の「クールジャパン政策」の一つにある日本コンテンツの海外展開、特に日本のアニメやマンガは海外でも話題となっている作品は多数あります。今後もこの政策に力を入れていくのであれば、クリエイターの土台となる2次創作やその発表の場であるイベントの開催は大事にしていく必要があります。

また、電通総研の調べでは、「今しかできないと思う趣味・好きなこと」で、男子高校生では、1位にアニメが来ており、20代社会人男子では2位にアニメ、4位にマンガと答えているという結果でした。(電通総研)。この点を含め、若年層にアニメやマンガなど2次創作の題材になり得るものに興味を持っている人が増えてきており、高齢化と少子化で先細りしていく業界が多い中、今後の広がりにも期待できる分野でしょう。

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