ベテラントレーダー人工知能が登場
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGD18HFR_T20C16A3SHA000/?dg=1
日本経済新聞に、「熟練トレーダーの相場観をコンピューターで再現できないかという発想で開発された株式売買システムを、野村証券が5月に機関投資家向けに提供する」という記事がアップされていました。半導体の集積密度の倍増を予知した「ムーアの法則」などをご存知の方は、IT技術のめざましい発達に危機感を持っていると思います。今回の新システムはベテラントレーダーの思考をモデリングした人工知能を駆使して、より株式の予測が立ちやすくなるものです。このシステムが高性能になれば、直接的な株式の売買なども人工知能が行い、結果的に人間がいらないものになってしまうかもしれません。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2」の2015年では、裁判が自動化されている未来が描かれていました。「真に公平な判決」を追求するならば、人の持つ同情などはハッキリ言って邪魔です。裁判の判例を管理するシステム、そしてそれを分析する人工知能などが開発されれば、一流の職業というイメージを持たれている「検事」や「裁判官」、「弁護士」という職業が、一気に消滅する…かもしれません。「人がやった方が良い、やることに価値が有る」「機械がやるのは不安だ」というニーズがあれば生き残るでしょう。ただ、人工知能が発達すると単純作業として見なされていた事務的な職業などは無くなる可能性があります。
画風をコントロールする人工知能がすでに開発された
https://rocketnews24.com/2015/09/09/627817/
アニメゲームマンガ業界の方々も、是非人工知能に対する関心を持っていただきたいです。この記事によると、写真を過去の著名な画家の作風に画像を処理することができる人工知能が開発された、ということです。既存の画像編集アプリと違う点は、画像をその場で解析し、「作風」と「作品固有の要素」を分けて学習できるシステムであるということです。この人工知能に著名な画家の人物画を読み込ませると、例えばそれが人間の絵だったとしたら、その画家のタッチや描き方、つまり「作風」を解析し、さらに「腕は下がっており、顔が横を向いている」など、「作品固有の要素」まで分析できます。それを学習した人工知能は、「ビル群」などの風景写真を読み込ませた場合、画像に「作風」の処理はするが、「固有の要素」の処理はさせない、つまり腕や顔をくっ付けたりはしないという処理ができるのです。これらの画像処理が1時間でできてしまいます。使い方によっては、独創的な世界観を演出するのに非常に役にたつと思われますが、アニメやゲームの背景処理などの仕事が簡略化され、無くなってしまう可能性があるのではないでしょうか。
抽象思考や並列思考は人間にしかできない
人工知能の研究をされていた苫米地英人さんは、長きにわたる人工知能の研究者としての視点から、人間とコンピューターの思考方法の違いを説明しています。大まかに説明すると、コンピューターというのは基本的にシリアル思考(一方通行的な処理)であり、パラレル思考(同時並列的な処理)を行うことは、そのような思考プロセスを設計しない限りできないと語ります。しかも、それも所詮シリアル思考の集合体でしかありません。人間がコンピューターの計算能力に匹敵することは普通の人にはできません。しかし並列的な処理能力は人間の方が圧倒的に勝っているというのです。何かをやりながら別のことをするとか、情報と情報を結びつけ、体型付けする能力などは人間でないとできません。もし同じことを人工知能でやろうとするならば、複雑な脳の思考プロセスを解析し、プログラミング言語で記述しなければなりません。その仕組みを作らない限りコンピューターには無理なのです。人工知能の研究とはつまり、いかに人間の脳にコンピューターを近づけるかという分野です。この開発がここまで進化している現代において、絵を描く処理技術や単純作業のタスクを早める技術ばかり磨いていたとしても、いずれコンピューターに追いつかれます。我々が準備すべきことのひとつとして、単純作業化されてしまう仕事が人間から人工知能に変わったとき、何をするか考えておくということが言えると思います。
何も考えずにいてはダメ
仕事が人工知能に変わるということは、一つの職がなくなってしまうということではありますが、デメリットは少ないのではないでしょうか。冒頭でも書いた通り、人工知能がいくら発達したとしても、「人間がやることに価値が見出される職」は残る可能性が高いです。掃除機ロボ「ルンバ」が発明され有る程度普及していても、ホームクリーニング業者に対するニーズはあるでしょう。ルンバよりもハイレベルなロボが生み出されたとしてもです。ですが、「機械でもできてしまう」という価値観の職が、これからどんどん増えるという視点は持っておかなくてはなりません。自分の仕事にとって変わるような機械が発明された時に備えられるし、転職せずとも、その発達した技術を活かすことで単純作業を任せ、人間にやってもらいたいというニーズに応えられるように、自分がちがう側面で活躍するという手段も取れます。自分が将来なりたい職業を考える時、こういう視点を持ちながら想像してみると、より深く自分のビジョンと向き合えるかもしれません。