本日（2016年3月24日）の日経新聞朝刊の一面に、以下の記事が掲載されていました。
転職「35歳の壁」壊す 職場再生へ動き出せ
欧米に比べ人材流動化が進まない日本。転職を働き方を変える好機と捉える社会にできないか。
消費者と直接向き合う仕事がしたい」。ニトリホールディングスで働く瀧口哲也（41）は4年前、外資系自動車会社から転職した。担当していた商品開発では消費者の顔が見えず、物足りなさが募った。30代後半の転職。不安もあったが、成長企業で挑戦したい思いが背中を押した。
転職市場において「35歳転職限界説」とはよく言われる言葉です。「転職するなら20代後半か30代前半、30代であれば、多少のリーダー、ディレクション、マネジメントスキルが欲しい」人事担当者や中小企業の社長さんからは大抵このような希望を聞きます。しかし、どの会社も同じ希望を持っているということはそれだけ競争率も高いということです。その上、少子高齢化でその層も少なくなっていることも相まって、25~35の採用競争率は年々高まっています。30代後半、40代前半の転職増加にはそのような背景もあります。
この記事以外にもいくつか転職、働き方に関する記事も掲載されていたので、それらと合わせて、アニメゲーム漫画業界での転職、働き方について考えてみます。
働き方変え生産性向上 長時間労働是正 女性進出後押し
五面には、上記の題で、日本の生産性や働き方への言及がありました。冒頭を引用します。
政府は働き方の改革を通じて、女性の社会進出や経済の底上げ、出生率の引き上げなどの効果を期待している。長時間労働の是正は、その重要な柱となる。（1面参照）
長時間の労働は、生産性の低下を招く。日本生産性本部の調査によると、2013年の就業時間１時間あたりでみた日本の労働生産性は、米独仏の3分の2ほどにとどまっている。常態化している長時間労働が原因との指摘も多い。
日本の労働生産性が米独仏に比べ3分の2という数値は驚きかと思います。ただし、この労働生産性という数値の低さが単純に労働時間の長時間化を生んでいるのか、労働時間を短時間にすれば生産性を上げられるのかについては考える必要があります。
ルクセンブルク、ノルウェーは日本の2倍以上生産性が高いという数値が出ています。ルクセンブルクの場合は金融業、ノルウェーの場合は天然資源という強みで生産性（稼ぐ力）を強めています。そこに、労働者一人一人の働き方という側面から2倍の生産性を出そうとするのは無理があるのではないでしょうか。もし可能だとしても、その時にはルクセンブルクやノルウェーも同様に2倍の成長の可能性が生じることにもなります。
転職「検討」は4割に 人手不足、有利に働く
最後に、日経の企業面取り上げられていた転職関しての記事です。冒頭を引用します。
転職サイト「DODA」が昨年、22～59歳の正社員5千人を対象に行った意識調査によると、転職を検討している人の割合は4割にのぼった。実際に転職活動している人も1割に達した。
転職を前向きにとらえる人も目立つ。同調査で転職を「ポジティブ」「どちらかといえばポジティブ」と評価した人は45％。「ネガティブ」「どちらかといえばネガティブ」の27％を上回った。
4割の正社員が転職を検討しており、そのうち1割は実際に転職活動をしているという調査結果はいささか驚きではないでしょうか。アニメゲーム漫画業界の就業人口をざっくりと10万人と考えると、4万人が転職を検討しており、1万人が実際に転職活動をしているということになります。
実際ラクジョブを利用して転職する人も増えています。年々、転職そのものに対する抵抗感も薄れており、働き方の希望を叶えるために転職を希望する人は多いです。しかし、実際には、アニメゲーム漫画業界が嫌になって他業界へ転職する人も、他業界からアニメゲーム漫画業界へ転職を希望する人も増えているために、スキルやノウハウの蓄積は業界全体で見ても薄くなっています。
転職は繰り返せば繰り返すほど年収、生涯賃金も下がります。転職を繰り返し、スキルやノウハウも蓄積させておらず、会社への帰属意識、会社からの信用も低い人には、高い給与を払えないのはある意味当然のことです。しかし、転職を希望する人の中には、そのことを分かっていない人もいます。統計的に押しなべれば転職は、確実に身に入るお金を減らします。お金だけでいうのであれば、宝くじやパチンコと同じくらいと言ってもいいです。転職を考える人には、ぜひこのことを理解してもらいたいです。ぜひ参考にしていただいて、転職や自分の働き方を見つめ直す機会にしていただければ幸いです。
