待望の…3月19日
「HUNTER X HUNTER連載再開!詳しくは3月19日」
という見出しを見て思わず驚きと同時に嬉しさを覚えました。ジャンプファンならずとも漫画業界にいる方にとってはクリエイターとしても「あの続きが読める」と興奮を覚えた方もいると思います。私自身ハンターハンターとの出会いは10年前ほど前にふとしたキッカケで1巻を読み、こんなに面白い漫画が世の中にはあるんだと思い5巻まで一気に読んだということがハンターハンターとの出会いのスタートです。
ただ、途中で漫画読むのを止めてしまった様に暫くその存在を忘れていたのですが、Huluという動画ストリーミングサービスでハンターハンターの〈1話からキメラアント編完結〉が置いてありふと見たら止まらなくなってしまい最終話まで一気に視聴、漫画をそこから買い込み読破、そんな経緯でハンターハンターファンに変貌していきました。私の紹介はこれくらいにして、そんな私が今回お送りするテーマは、ここまで一気に引き込むの魅力は何なのか?目指すべきこれからの漫画家像は?という話をお送りしたいと思います。
辿ってみると
2015年は1年間ずっと掲載はされていません。最後まで読んだ方は共感頂けると思いますが、これからそれでどうなるの、という所でプッツリ切断されていますのでファンは気になって気になって仕方がない状態なワケです。それでもファンを辞める、冨樫先生の漫画はもういいや、とならないから不思議ですね。
少し調べてみたのですが、2016年は未定、2015年は完全休載、2014年は2割、2013年1割弱、2012年3割、2011年4割、2010年5割、2009年で1割です。この割合は年間で発行されるジャンプに対してハンターハンターは何割くらい掲載されたかです。公表の数値ではないため若干の誤差はあるかもしれませんが、だいたいこのくらいだと思います。年間を辿ってみても5割載っていたら良い、2割~3割は普通普通、この状態でファンがどんどん増加しているのですからますます不思議です。
休んでいる理由はともかくとして人気の理由は
冨樫先生しか書けない世界観をファンからは「冨樫ワールド」と呼ばれています。漫画は人気が出るモノは連載を続けて欲しいという出版社側からの思いと、書きたいと思う漫画家の意思が相まったのが膨らませた後付け設定です。
業界の方なら聞き馴染みのある言葉ですが一応説明を入れておきます。例えば、冒険系漫画の基本的は壮大なゴールに向かって主人公が見切り発車でスタートし、そこから仲間や敵、ダンジョンが増えていきます。スキルや能力もそれに応じて増えていきますが、著者、出版社、お客さんにしても最終的な目的地にどう辿り着くのかに興味が有る訳ですから面白ければ後付けで元々あった設定を覆すことだってアリとなっています。この後付けのメリットは作品が続けられる、もう少し連載出来る、漫画を売れる、映画化出来る、その他諸々です。デメリットは作者が終わりにしたいと思っていた場合、「まだ続けるの、もうしんどい」という人に書かせるのだから担当が苦労する点です。
冨樫先生がどういう意図でやっているかはさておいて、設定を覆す新たな設定「暗黒大陸」が実は私たちの島の外側にあってそこは魑魅魍魎が蠢く世界、などは明らかにユーザーの頭では思い付かない発想で想定外の所へ飛ばされています。ここが超越しているのは間違いなく漫画家の中でトップクラスだと思います。もしそうでない場合、休載が多すぎる時点で出版社にも、お客さんにも飽きられて終了している筈です。ただ、現実はそうなっていません。
お客さんの視点を外すところ
どういう風に思い付いて書いているのかはファンとしても、ラクジョブ事務局を運営する人間としても気になるところです。一つ共通することで言えるのは、制約されていない点です。普段から制約されない、常識とは懸け離れた世界で生きているからぶっ飛んだ発想が思い付いているのかなと思ってしまうくらいぶっ飛んだ世界観を漫画の中で作り出しています。
日常生活においてぶっ飛んだことを行う場合は周囲だけではなく自分でもストップが掛けますが、そこが一切見えません。キメラアント編でネテロをカッコよく散らす所や、一件落着と思わせておいて俺らの島にはまだ見たことがない世界が待っている、と言って設定を新たに追加してくる、この人の底はどこにあるのでしょうか。
漫画家が目指すべき道
私はこの冨樫先生の書き方とか取り組み方が良いか悪いかは置いておいて、これからのクリエイターはぶっ飛んだ発想でユーザー喜ばせ、休載しても漫画が自然に売れる、連載再開は待望のと言われる、言うなれば「神格化という付加価値」が必要だと思います。前々からお伝えしている様にTPPで資本の大きい会社が増加し、いちクリエイターは普通に生きるだけでも苦しい世界になる可能性が高くなることが目に見えています。
この人にしか書けない、この人の作品だから読みたい、そう思って貰える様な価値を自分の中で見付け作品にしていくことでより良い漫画が増えます。ハンターハンターはその頂点をいっているなと思い記事を書きました。今日も魅力的なクリエイターさんを育てる活動を全力で応援していきます。
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