トヨタ、ベースアップから見るゲーム業界の給料アップ 実力主義orベースアップ

本日、2016年3月16日の日経新聞の一面に以下のような記事が掲載されていました。

nikkei「トヨタ、ベア1500円で決着へ 3年連続で実施」

冒頭を引用します。「トヨタ自動車は15日、2016年の春季労使交渉でベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分を1500円(昨年は4千円)とする方針を固めた。ベア実施は3年連続。競争力強化に向けて人への投資を継続し、経済の好循環を後押しする。豊田自動織機の労使も同日、同額のベアで妥結するなどグループ一丸となって賃金格差の是正に取り組む。」掲載されている写真には、はちまきを巻いて意気込んでいるトヨタグループ労組の面々が写っています。今回はベースアップに関連してゲーム業界の給与についての話です。

03kyuyo_nensyuゲーム業界の平均年収はいくら?

まずそもそもゲーム業界の平均給与がいくらかご存知でしょうか。一般財団法人デジタルコンテンツ協会がまとめた、「デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究委員会報告書(平成21年度版)」によると、ゲーム産業の平均年収は518万4995 円となっています。年収の金額帯別で見ると、最も多いのが「300万円以上400万円未満」で21.0%、続いて「400万円以上500万円未満」18.6%、「500万円以上600万円未満」15.9%と続きます。

平均年収518万円と聞くと、悪くない数字に思われるかもしれませんが、実際にゲーム業界で働いている人にとっては、518万円という数字はリアリティがないはずです。実際、平均年収である「500万円以上600万円未満」15.9%しかなく、500万円未満に52.3%が分類されており、過半数の人が平均年収帯未満に属していることになります。

お金を稼ぐスマートフォン年収を上げるためにはどうすればいいのか

実際、アニメゲーム漫画業界の専門求人サイト「ラクジョブ」を運営している立場からの知見としても、新卒の場合、大体が年収300万円以下、数年経験のある人で300万円~400万円、「できるクリエイター」に分類されるような人で年収400万円以上というような体感です。年収500万円を超えているような人は限られています。

では、年収を上げるためにはどうすればいいのか。方法は大きく分けて3つあります。

1つはスキルを上げること。スキルが上がって、クリエイターとしての評価が上がればそれだけ給料も高くなります。ただし、時代の変化が激しいゲーム業界で1つのスキルを極めていれば安心ということは決してなく、日々最新技術を追い求める姿勢が必要となります。

2つ目は、ディレクション側になること、人をまとめる立場になることです。チームをまとめてチームとしてのパフォーマンスを高めることができる人はチームの人数分生産性を上げる倍率が高くなります。企業としても大切なのは個々のクリエイターのスキル云々よりチームとしてどれだけのクオリティを発揮できるかという点でクライアントから評価されるため、できるディレクターは重宝されます。

3つ目が、転職して年収の高い会社に移ること。ピラミッド構造のゲーム業界の中で、メーカー、パブリッシャーやその直下の元請け開発会社は、それ以外の下請け会社と比べて売上も高く、良い条件が提示されます。しかし、その分、転職するのは難しいですし、入社後もこれまでと同じセクションの仕事でこれまで以上の質が求められることは覚悟すべきでしょう。

imresize実力主義orベースアップ

そこで、冒頭のトヨタを思い返してみますが、ゲーム業界においてはベースアップそのものの考え方が一般的ではないところが多いです。もちろん年齢が高い人ほど給与が高いという相関関係はみられるかもしれませんが、基本的にはスキルと経験の蓄積が評価されているだけであって、実際には評価されずゲーム業界を去っている人も少なくないはずです。

また、ソーシャルゲームの流行から一気に新しい風がゲーム業界にも入ってきて、20代30代の社長が率いる若手ベンチャー企業も増えています。これらの会社では、特に年齢が指標となるケースは少なく、より一層実力主義の色が強くなっています。

一方、少数ではありますが、「従業員の生活を大切にしたい」という思いから、年2回、2%の昇給を約束している会社もあります(バイシンク・エンタテインメント株式会社 ゲームサーバーエンジニア 未経験可)。

ゲーム業界はそれでも悪くない条件の会社も多いですが、アニメ業界、漫画業界は生活が危ぶまれるレベルの方々が少なくありません。実力主義がいいのか、ベースアップがいいのかということは、これを読んでいただいた皆様にも考えていただければと思います。ラクジョブでは、給与体系含め様々な考え方の会社がありますので、ぜひ一度ラクジョブからゲーム業界全体を眺めて、自分の働き方も考えていただければ幸いです。

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