遊技機業界の不振
今回の話題は遊技機業界の話題です。弊社ではアニメゲーム漫画、広くいえばコンテンツ、クリエイティブ業界を対象に営業代行や求人サービスを運営しています。業界を見渡したときに、非常に影響力の大きい業界があります。それは、遊技機(パチンコ、パチスロ業界)です。遊技機業界は、他の業界に比べ産業規模が桁違いに多く、映像制作の単価もゲーム開発に比べおしなべて高いのです。そうした理由から、ゲームの開発会社であっても、開発ラインの3割は遊技機の仕事を常時やっている会社、CGプロダクションといいつつ専ら遊技機の下請けをやっている会社が存在します。クリエイティブ産業全体として、いわば遊技機業界に依存している現状があるのです。そんな中、遊技機業界においては不況が続いています。遊技機の参加人口の減少(全盛期の1995年代に比して3分の1程度)、パチンコ台についての法規制の厳格化により業界の売り上げ規模が下がっているのです。
こうした遊技機業界の流れは他の産業にも影響を及ぼします。ゲームの会社でも遊技機比率の大きい会社や、そのゲーム会社から仕事を受託しているイラストの会社、遊技機の2Dの仕事を受託しているアニメ会社にとっては特に影響が大きく、一気に経営状況が悪化した会社も少なくありません。
遊技機業界を知らないイラスト制作会社
こうした業界のトレンドについて、意外と無頓着なのはイラストの制作会社です。ゲームや映像制作会社であれば否応にも単価感の変化には敏感になるでしょうし、自社で遊技機に触れておらずとも、同業他社から情報を聞く機会もあるでしょう。しかしイラスト制作がメインである会社にはこうした機会がそもそも無いために、遊技機業界の大変化に気がつかないのです。
どんな影響が出てくる?
とはいえ数十兆規模の売上高の遊技機業界が不振であるということは、イラスト制作会社も含めて、大きなインパクトを与えます。まず考えうることとしては、映像制作会社やゲームの会社が単価の低い仕事に代替してゆき、経営状況が悪くなることで、イラストも含め外注の単価についても低めに設定してくることです。現在ソーシャルゲームの隆盛によって比較的に仕事には恵まれているイラスト制作会社ですが、クライアントであるゲームの開発会社にとってはハードな状況が続いているのです。ソーシャルゲームのピークも過ぎた今、遊技機業界不振の波がイラスト会社にまで影響してくるのは十分に考えうることです。逆に、イラスト制作の会社にとってプラスな影響もあり得ます。それは、遊技機業界出身の3DCGデザイナーが採用しやすくなることです。イラストの会社の中にも、スマホゲームの3D化に対応して、3D部隊を作っていこうという会社が見受けられますが、こうした会社にとっては採用のしにくい3D人材を採用できる絶好のチャンスです。遊技機出身の3D人材にはスキルの高い優秀な人材も多いので、今のようなタイミングにこそ、人材採用を考えて見るのも悪くありません。
他の業界にも関心をもち、幅広い視点を持ちましょう
少し暗い話題になってしまいましたが、遊技機業界の不振がインパクトを持つのは事実です。現在のアニメゲーム漫画業界はどの業界であれ、多かれ少なかれ不安要因を抱えています。それもそのはず、やっている仕事の内容は違えどコンテンツ産業、クリエイティブ産業というくくりで見れば、全ては繋がっているのです。遊技機人口の減少は元を正せば若年層の可処分所得の減少と相関があります。若年層の余裕のなさは、同様にコンシューマゲームの不振傾向とも関連があります。他の業界での変化にもいち早くアンテナをたて、我がこととして考えることができれば、他に先んじて対応策を講じることができます。では、他の業界の事情をどうやって知ればいいのか?一つの方法としては、ビハイアの経営者交流会に足を運んでみるのはいかがですか?ビハイアの交流会では、遊技機、ゲーム、アニメなどジャンルを超えた経営者を呼んでいます。他の業界を知る機会としてご利用ください。