新基準によるホール経営への影響
記事を読んで頂きありがとうございます。パチンコ機の回収リストが発表され次回の発表は3月ごろを予定しているそうですが、これからMAX機と呼ばれる初当たり確率が400分の1に近いスペックの台がどんどん回収され、新規制に適合する機種と順次入替となっていきます。新規制では初当たり確率が320分の1にまで抑えられることになり、これはミドル機とほぼ変わりません。要するにMAXとミドルが統合されるようなものです。
現在ホールを支えているのはMAX機であり、それが第1回の回収リストにも載っていたルパンや牙狼など打っていても面白く大当たりが狙える台として人気を誇っていました。それが今回の回収ですべて撤去されることになり、代わりに入ってくるのが射幸性を抑えたミドルスペックの機種となると、一気にMAXの機械の1台当たり売り上げがミドルの売り上げまで下がってしまうことになり、ホールの経営を圧迫することが懸念されています。
射幸性を抑えた時間消費型娯楽への転換
そんな中、2月19日に遊技機業界におけるニュースとして都内千代田区のアルカディア市ヶ谷にて、第14期第3回臨時社員総会・第55回PCSA経営勉強会を開催し、日工組が回収リストの現状を説明しました。
引用開始
社員総会の冒頭、挨拶に立った金本朝樹代表理事は、先般日工組が公表した回収対象リストについて「いかに遊技人口減少を食い止められるかが大きな課題。ホールが求める多種多様な機種は今の検定基準では開発できないと聞いているが、できるだけ早く大幅な改定を実現化し、安心安全に遊べる遊技機を速やかに開発して欲しい」と述べ、それらの安心な遊技機に対して「等価営業ではなく全国で足並みを揃えて交換率30玉で営業できるような基盤を作っていくべき。メーカー団体とはホールのサポートプランを早急に協議していく」と話し、撤去回収問題に向けての協力姿勢を見せた。
審議報告では、1月26日に業界14団体で発出した「遊技産業における健全化推進に関する声明」に加えて、パチンコを時間消費型娯楽という姿に回帰させるといったPCSA独自の声明を改めて周知させた。
引用終了
パチンコ業界誌「遊技日本」 日工組が回収リストの現状を説明/PCSA より抜粋
射幸性を下げて遊技機の遊び方として時間消費型娯楽に変えていくということですが、これは業界の方々が懸念されているようにパチンコファンをホールから遠ざけることになっていくと思います。もちろん新基準で適合した機種で楽しく遊べるという方もいると思いますし、業界が突然なくなると言うことはないでしょうが、業界全体を巻き込んでの経営のあり方を模索することが迫られています。
遊技機メーカー側も2016年はかなり試行錯誤というかどんな台にすればユーザーが喜んでくれるのか、かなり思案にくれていると思います。新基準をクリアしつつこれまで以上に面白いものをというのは、基準という部分がゲーム業界とは違いますが、そこを外せば今まで以上に面白いものを作り続けると言うこと自体、ゲームなどのエンターテインメントと共通する部分です。これをメーカーだけで考えていくというのは難しいでしょうし、開発会社でもそういった部分から提案していける、状況によっては版元への話を通して持ってきましたぐらいの気概が必要になってきています。版権というテーマが与えられてそこから企画して作るというフローから、その一歩手前からやるという状況に変わり始めています。メーカーも開発会社も一丸となってこの状況を打破するためにクリエイティブを発揮していかないと、今後倒産や事業売却などを行う会社が増えてくるでしょう。
遊技機案件と経営方針
そんな業界の状況ではありますが、現在遊技機の案件が少しずつ出てきています。とはいえ、これまでのように遊技機開発経験があればどこでもいいからやってくれるところという感じではなく、しっかりと開発会社を吟味した上でこれまでつきあってきた会社とは違う良さや提案がないと受けにくい状況になってきました。それだけメーカーも発注先を何処にするのかに慎重になっていると言えますし、2016年は2017年以降に発売する台を開発している真っ最中ですから、今後の行く末を握っている時期であると言っても過言ではありません。
多くの会社で遊技機専門から方向転換をしたところもあれば、これまで通り遊技機に専門特化していくという会社と2つに分かれていっています。これらの決断が業界の行く末に大きくかかわってくるでしょう。我々もより多くの案件情報や優秀外注先情報を提供しながら、業界が発展していくところを応援していきたいと思います。