記事を読んでいただき有り難うございます。今回の記事では、有名なプロゲーマー梅原大悟さんの著書「勝ち続ける意志力」のご紹介をしたいと思います。この本は企業の経営者にもクリエイターの方にもお奨めしたい作品です。
プロゲーマーに学ぶ仕事術
プロゲーマー、梅原大吾さんをご存じの方は多いと思います。「プロゲーマー」として、スポンサー付きで数々の世界大会を制している日本屈指のゲーマーです。今では名実共にナンバーワンゲーマーとしてその名をとどろかせていますが、著書の「勝ち続ける意志力」では彼がプロゲーマーとして地位を確立するまでの迷いや悩みが書かれています。今では一つのブランドを確立している彼ですが、途中でゲーマーとして続けるかどうか自体に悩むなど、人間味のあるエピソードがふんだんにちりばめられており、クリエイターの方にも参考に出来る部分が多いと思ったので取り上げています。
他者に左右されずにゲーマーを貫く
梅原さんは、「ゲーマー」という、誰も注目をしないジャンルについてこだわり抜いています。「自分がゲーマーであり就職をして仕事をしているような普通な人」と自分と比較し、劣等感を感じる描写が本の中に繰り返し登場します。「ゲーマーとして強いこと」には、確立した上達の方法もなければ相談出来る先輩も存在しません。ただ上達しつづけたいという想いの元、スポーツ選手の自伝や将棋の名人のエピソードなどについて本を読むなどして情報を収集し、独自の方法論でゲームに取り組んで行きます。意外なことですが、この本には途中でゲームを断念し麻雀や介護の仕事に打ち込んで行くエピソードも収録されています。梅原さんは10代の頃よりゲーム一筋に打ち込み続けますが、一度世界大会で優勝した時にモチベーションを失います。ゲームを極め続けていくことに意義を見出せ無くなっていきます。途中で雀荘に就職し麻雀を極めようとしてみたり、介護の世界に入ってみたりと、遍歴を重ねた挙げ句にゲームに戻ってくるのですが、最終的にはゲーマーを貫きます。
正しい努力の方法について
梅原さんのゲームについての取り組み方は、正しい努力の仕方について非常に参考になります。本文中には「小さな変化を積み重ねる」というフレーズが繰り返し登場してきます。ゲームを上達する上で、梅原さんはプレイ毎に前回と何が変化したのかについてメモをとり続けているそうですが、こうした取り組み方は仕事にも通じることではないでしょうか?仕事は基本的に代わり映えのしないルーチンワークがメインですが、毎日を漫然と過ごすのか、少しの変化に気づき工夫を積み重ねて行くのかで大きな差が現れてきます。また、ゲーマーとして上達する上でも、一定の生活ペースを規則正しく守り、ゲームをプレイする時間を一定時間に保ち、無理にならない範囲で練習の質を充実させることが彼のスタイルです。ゲームについて上達をし続けていくこと自体が目的であり、練習はその過程である。過程である練習が辛すぎて続かないものでは元も子も無い。梅原さんのように一定のルーチンを守り努力を積み重ねるタイプとしては、野球のイチロー選手や作家の村上春樹が有名です。イチロー選手は食べる食事のメニューから座る椅子の形まで一定のルーチンを守る事で知られていますし、村上春樹さんも早朝に原稿を集中的に書き、昼からはマラソンをするという生活を継続しています。3人とも、無理をして気合いで上達するというよりはルーチンを守る事に徹するという意味で、似ている努力観を持っていると私は思います。
他の人がしないことほど継続する
デザイナーであれプログラマーであれ、流行廃りの激しい業界ですから、ゲーム開発者は学習を続けていく必要があります。このラクジョブ新聞で「株式会社サクセス」の吉成社長にインタビューをした記事があります。
〇ゲーム会社の社長に聞いた、ゲームプランナーは新聞と本を読もう!
https://raku-job.jp/news/recruitment/4136/
この記事において吉成社長は、ゲーム開発者として活躍する上で新聞や本を読みインプットしていく事の重要性を語っています。ゲーム開発者であるからといって現場の仕事だけを繰り返すのでは無く、一朝一夕に身につかない知識量の下地があってこそ良いゲームになるのです。新聞や本は一般の社会人全員が実践しているものでは無いと思いますが、だからこそ愚直に続けている人が他と差別化していきます。どんな職種の人であれ、自分の付加価値を磨いていき強みを作って行く事が後のキャリアにプラスに働きます。そして強みは一朝一夕に生まれるものではなく、日々の仕事への取り組み方などから徐々に培われて行く物です。自分の強みを活かしつつ、プロフェッショナルとして力を蓄えて行く上で、プロゲーマー梅原さんの取り組み方はとても参考になります。