遊技機の規制の厳しさについては、以前から何度かご紹介してます(なぜ遊技機業界は大型倒産や事業撤退が多いのか?規制、釘曲げ問題、警察の関係性)。2015年中旬から続いていた規制によって、メーカーから下請けへの案件の発注も細くなっていましたが、最近いくつかの会社から「メーカーからやっと案件の発注が来た」という安堵の声を聞くようになりました。しかし、一方でまだ全く案件の相談が来ていないと焦っている会社もあると思います。今回は、メーカーから案件を受注できる会社、できない会社の違いについてお話したいと思います。
実は戦う前から勝負が決まっています
メーカーから遊技機案件を受注できる会社の条件は2つあります。1つはメーカーとつながりがあること、もう1つは遊技機の企画提案ができることです。遊技機メーカーは業界大手だと1000人以上の従業員を抱える会社もありますが、実際にその内部のデザインチームは50名に満たないところもあるそうです。
遊技機開発は、一つの台の企画が始まってからホールに台が並ぶまで100名近くの人間が2~3年かけて数億円、多い時には10億円以上の費用と投じて開発されます。元請けとなって一つの台の開発を丸々受注することができればそれだけで年間数億円の売上になります。実際、メーカーからの信頼が厚い企業には月に100人月以上の発注が続いている会社が多いそうです。
メーカーと仕事をできるだけでもすごいですよね
しかし、それだけの発注を持続的に獲得し続けることができる会社はほんの一部です。実際には、グラフィックの1演出だけを受託するとか、モデルを1体制作するとか、図柄を制作するとかが多いと思います。そして、それもメーカーから直での発注はほとんどないでしょう。
元請け会社や元請け会社からさらに発注を受けた孫請け会社などからの案件で、メーカーからは自社が制作に関わっていることすら知られていないというのは珍しい話ではありません。そして、メーカーとのつながりさえあればどこかのタイミングで発注してもらえるかというとそうではありません。メーカーから弊社に相談があるときでも、「出向で来てくれる人がいるのなら頼みたい」というくらいの温度間であることがほとんどです。
何よりも大切なのは「企画力」
メーカーから大きな相談をされるようになるためには、「企画」ができるかできないかが指標になります。では、企画とは何を指すのかというと、「コンテンツ(版権)だけをお題にして、その台で制作する全ての映像演出の提案ができるかどうか」という意味です。
どんなステージにして、図柄のデザインをどれにして、どんなリーチ演出にして、ということを1から全部企画提案します。それができればメーカーと直接仕事ができて、案件が少なくなった時にでも社内のラインと埋め続けることができます。話によると振り分けまで外注で任されることがあるそうです。そうしてメーカーに企画が通れば、それが仕様となって自分たちよりも数倍以上の規模のCG制作会社へ発注できます。
とは簡単に言ったもののそれができる会社は一部に限られます。仕様を基に制作することはできても、仕様もイメージも何一つない状態から版権のお題だけで提案できるのは、メーカー出身や大手出身で実際に企画提案の仕事をやったことがある人が社内に1人はいないと厳しいでしょう。そして、そのレベルの人は大抵仕事もプライベートも遊技機にどっぷりで、心の底からパチンコ・パチスロが大好きな人なので、事業の一部として遊技機に関わっている、お金になるから遊技機の仕事をやっているという会社を選ぶことはほとんどありません。
遊技機事業を持つ会社が考えるべき3つの選択肢
なので、遊技機の映像制作案件がほしいという会社が取りうる方法は3つあります。一つは、メーカーに企画提案できるほどにどっぷり遊技機に会社に方向転換すること、もう一つは企画提案ができる会社とのつながりを増やすこと、最後に遊技機事業そのものを撤退させてしまうことです。そしてどの選択をするにしても幸いビ・ハイアでお手伝いできることがあります。
弊社は、求人サービスでメーカーから元請け、デベロッパーまでアニメゲーム漫画業界含め4000社以上のお付き合いがあるので、「メーカーを紹介してほしい、元請け会社を紹介してほしい、メーカーと企画段階から仕事している会社を紹介してほしい」という希望があれば、おつなぎさせていただいています。また、事業の撤退を決めた会社には、逆に事業の拡大を考えている会社に事業ごとのチームの移籍、リプレイスメントのご提案もさせていただきます。
経営的な理由で社員に辞めてもらわなければいけなくなったとしても、できるだけ社員にもマイナスが少ない結果にしたいと思うのは心情だと思います。業界発展のために求人を事業にしているビ・ハイアとしてもクリエイターの働きやすい環境への移籍を応援したいと思っています。いずれの決断にするにせよ、遊技機事業でお悩みの方はまず一度お問い合わせください。