制作進行のキャリアアップとは?
制作進行は、アニメ業界において、アニメーターたちが制作した作画の進捗管理や作画の回収、クリエイター間の折衷業務が中心となります。そのため、映像を作るアニメ業界の中でも絵のスキルを求められるわけではありません。できていたりわかっているに越したことはありませんが・・・。
アニメーターの場合のキャリアアップは、動画から入り、原画、作画監督、総作画監督、監督とキャリアを積んでいきます。一方、制作進行のキャリアアップは、制作進行、制作デスク、プロデューサーとキャリアを積んでいくことになります。そのため、将来的にアニメのプロデューサーを目指そうという人は、以下の感覚を持っておいてほしいことがあります。
プロデューサーの仕事について
プロデューサーの主な仕事は、アニメ化したいという原作者を見つけ、まず仕事を取ってくるという営業的分野の他に、制作に必要な資金繰りや予算の配分、アニメ化する作人のPRや広報戦略をどうするかなどを行う必要があります。そのため、プロデューサーは予算感に関して持っている必要があります。
では、アニメ制作にはどれくらいかかるのでしょう。そして、その作品からどれくらいの売り上げを上げなければならないのでしょうか。
だいたい30分のアニメ制作をするのに1話あたり1500万円ほどかかります。中には、「ONE PIECE」のように1000万円ほどで作ったり、1話3000万円ほどかけて制作された「攻殻機動隊」などもあります。平均的な1話1500万円ほどの制作費で作ったとしても、1クールのアニメは12、3話になります。そのため総額にすると、約2億円から2億5000万円ほどになります。
今回は、1話換算で書かせてもらいましたが、実際は、1クールのアニメで、動画、原画、3D、背景、声優はなど細かく予算組をする必要があります。ざっくりと書かせてもらいましたが、ケースによっては、オープニングにこれくらいかけたいとか、この話数は力を入れたいと思っているので作業量が多く予算がたくさんかけてほしいなどの要望もあったりします。プロデューサーがどれだけ資金を集められるかによって、アニメのクオリティーをどこまで上げられるかが決まってきてしまいます。逆に言えば、その予算感がわかっていないと、監督からの要求で予想以上に工数と予算がかかってしまい、TVシリーズ全てをやり終える前に資金繰りが行き届かなくなり、後半部分に予算がかけられず制作が難しくなってしまいます。
評価されるプロデューサーとは
プロデューサーが仕事をする中で、最終的に最も見られるところが、そのアニメ放送からどの程度の売り上げを上げることができたかです。最近は、声優のイベントやグッズ販売で収益を得ていますが、アニメとしての評価の基準は、Blu-rayやDVDの販売枚数になります。
ではどれくらい売ればいいのでしょうか。
だいたいTVアニメシリーズの続編を作るか作らないかの判断基準が、Blu-rayやDVDがシリーズ通して各巻平均5000枚売ると良いちいうことを言われています。そのため、続編にするだけの価値がある作品という評価と言っていいでしょう。
各巻5000枚販売すると
1クール12、3話が一般的なTVシリーズは、1巻2話構成で制作すると、6、7巻になります。それが1巻あたり、5000枚売れるとします。一枚あたりの単価は通常盤が約6000円、特装版や初回限定版が8000円ほどです。そのため平均を7000円とすると、1巻あたりの売り上げが3500万円、それが6、7巻なので、2億1000万円から2億4500万円になります。
やはり各巻5000枚で差し引きゼロ、その他のイベントやグッズによる収益によってプラスにできるでしょう。そのため、プロデューサーとしては、2億1000万円から2億5000万円くらいの売り上げを見込めるタイトルであったりの仕事を取ってくる必要があります。
ただし、これは小売店、Amazonなどの流通の取り分が入っていませんから、実際は5,000枚の3割増し、6,500〜7,000枚は売れて欲しいところです。厳密な数字は製作委員会にどんな形で出資されているかによって変わるので一概には言えませんが、Blu-ray・DVDがこれくらい売れる必要があります。
あとは、自社の制作陣の監督やアニメーターが得意なジャンルをよく把握した上で原作タイトルを決める必要もあります。いくらプロデューサーががんばって資金調達をし、潤沢な資金の中、制作してもアニメーターの苦手なジャンルでユーザーの求めるクオリティーまで達しなければもともこもありません。それに、あまりにもできの悪いタイトルばかり作っていると、資金の出資先も減ってきてしまうでしょう。あの会社はアニメのクオリティーが低いので資金の回収は難しいなんて思われたら、もはやアニメの元請け会社としてはやっていけないでしょう。
いろいろ書かせていただきましたが、プロデューサーは、資金を集めたり、いいタイトルを引っ張ってくるという営業的な側面が多く、責任が重くのしかかってくる仕事です。しかし、社内のアニメーターの長所を理解した上で、人気タイトルを受注し、資金調達も順調に行えたとしたら、きっといい作品を作ることができ、世の中の満足させたり、感動させたりできる作品を仕上げることができます。
ラクジョブには、制作進行の就職や転職を希望される人が多くいます。そういった人たちが、制作進行を経て、プロデューサーまでキャリアアップし、いいアニメを提供できるような方に成長していただけると嬉しいです。また、そのきっかけとなるお手伝いができればと思っております。
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