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2016.01.16 教養としてのゲーム史 多根清史さん著 ゲームクリエイターにおすすめ

61-39fCmLpL教養としてのゲーム史 多根清史さん著

記事を読んでいただきありがとうございます。ビ・ハイアの床井です。今回の記事では「教養としてのゲーム史」という本のご紹介をしたいと思います。新書で比較的読みやすく、まさに「教養」と言えるようなゲームの歴史が詰まっているので、これから面接を受ける人にも事予習として使える本だと思います。

現在のゲーム業界に至るまでの歴史、文脈がわかる

この書籍が優れているのは、現在のゲーム業界が出来上がるまでの変遷の過程を一望出来ることです。今20代でゲーム業界に入っていくとすると、この先40年はゲーム業界にいてもおかしくありません。今から40年前のゲームがどんなものであったか想像が付きますか。想像も付かないでしょう。自分がクリエイターとして大成していく上で、タイムスパンを思い切り広げて考えて見るのは役に立ちます。この本はその為にうってつけの本です。

shutterstock_350355092ゲームはパソコンの機能高度化と共に歩んできた

全体の章立ては4本に分かれています。それぞれ「固定画面の中で」、「スクロールが産み出す世界」、「RPGと想像力のデザイン」、「シミュレーションと欲望」となっています。4つの章立ては基本的に時系列順にゲームの進化を追うものです。
興味深いのは、ゲームが新しいパラダイムに移るときに技術的進歩が必ず関与している点です。ゲームの歴史は「テトリス」や「パックマン」のような固定画面におけるかんたんなアクション(それこそ十字キーやジャンプボタンの組み合わせで成り立つような)が中心のゲームですが、そこからハードの進化に従い「スクロール」という新しい軸が導入されてきます。それにより幅がぐっと広がり、「ゼビウス」のようなシューティングゲームや「スーパーマリオ」などの「ステージ展開」という概念が生まれます。

さらにパソコンがメモリ拡張したことで、今度は異なるマップ同士をジョイントする事が出来るようになり「RPG」というジャンルが登場します。この段階でゲームは1つのまとまりある世界観を表現出来るようになりました。更にパソコンの機能が高次化すると、今度はプレイヤーの選択によって臨機応変にゲーム内の世界に変化を加えることが出来る様になり「シミュレーションゲーム」という登場する事になります。典型的な物は「オンラインゲーム」ですね。

これだけの変化が70年代(テトリスなど)の時代から、40年間のうちに起こってきたわけですが、改めてゲームというのはパソコンの機能の拡張にともなって変化してきたのだと言う事がわかります。

shutterstock_302406578技術の進歩とアイデア

技術の進化という大きい流れと、その技術の上でのクリエイターの試行錯誤が繰り返されてきたのがゲームであると言う事も分かります。たとえば固定画面に簡単な電子信号を射影するだけの時代にも、最初は「パックマン」のような「自機」と「敵」によって構成されていたゲームしかなかったのが、やがて「ドンキーコング」や「スーパーマリオ」のようなゲームになってくると「ジャンプ」というアイデアが生まれてきます。ジャンプがあるかないかでゲームのアクション性は全く変わってきます。クリエイターが起こしたのはこの「ジャンプ」のような少しのギミックの変化ですが、それだけで何パターンもの新しいゲームが生まれるのです。

kyazumu現在は新しい技術の「キャズム」にあるのではないか

新しい技術→その中での試行錯誤、という流れが繰り返されてきたのなら、今はまさに「次の技術」へと移行しつつある時代なのではないでしょうか。今業界で売上が高いのはスマホゲームですが、今年はそこまで収益の伸びが芳しくなかった会社が多かったです。市場自体が成熟しつつあり、「スマホゲーム」というジャンル自体がある程度の試行錯誤が済んで来たのかも知れません。一方で、今注目されているのは「VR技術」ですね。FACEBOOK社がOclus liftを買収した事がニュースになりましたが、VRは確かに明らかに今までのゲームとは違う表現をする事が可能になります。

VR技術は映像によるリアリティもありますが、今までと一線を画しているのは「嗅覚」「聴覚」「触覚」なども含めて、人間の脳に直接働きかけリアリティを高める方法が模索されている点だと思います。「Virtual Reality」の「Virtual」は日本語で「仮想の」という意味がありますが、これは誤訳であると言われています。言葉のニュアンスとして日本語で言えば「実際上の」「事実上の」という意味が含まれており、「Virtual Reality」は「もう一つの現実空間」という意味になります。確かに、五覚にたいして現実と遜色がない情報が送られていくのであれば、それは脳内現象として「現実」と呼べるはずです。

「ゲーム」という言葉を聞くときにイメージする、パソコンやハードに向かう、というイメージ自体がもはや古いのかもしれません。もう一つの現実世界の中において、どのように人を楽しませる仕掛けを作っていけるかが今後のゲームクリエーターにかかっていると思います。

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