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2015.12.11 アニメ 3DCG クリエイターとパソコン性能 1億倍のスパコンとガオガイガー

アニメ 3DCG クリエイターとパソコン性能について考えて見たいと思います。それは勇者王ガオガイガーのBlu-rayBoxをみたのと、量子コンピュータは「1億倍高速」という記事を読んだからです。

ゴルディンオンハンマアーぁぁぁぁぁ!!!の勇者王ガオガイガーのBlu-rayが届いたので早速観ました。ゴルディオンハンマーの正式名称は「グラビティ・ショックウェーブ・ジェネレイティング・ツール 」!です。

Blu-rayBoxの米たにヨシトモ監督のオーディオコメンタリーを聞いていたのですが、この頃はCGアニメをアニメに使い始めたばかりで色んな挑戦をしていた・・・と言っていました。勇者王ガオガイガーの放映は1997年。制作していたのは1996年頃からだろうから、その頃のPhotoshopのバージョンとか3とか4の時代です。

アドビ システムズ社、さらに精度の高いデザインワークを追求した新バージョン Adobe Photoshop®4.0J を発表
https://www.adobe.com/jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/pdfs/19961106ps4.0j.pdf

超懐かしい・・・バージョン4って・・・私もまだG3すら搭載されてないPowerPCのMac9500で同人誌作ったりしてました。PhotoshopとPageMaker使ってましたね。この時代の性能で、プロテクトシェードのバリア表現や敵ボスのEI01の表現などをCGでやっていたわけです。すごいですよね。

この頃CG使っててビックリしたアニメと言えば天空のエスカフローネとかもそうでした。敵メカであるガイメレフのステルスマントの表現にはビビったのを覚えてます。ただ、エスカフローネはどちらかというと高山みなみさん演じるディランドゥ・アルバウタゥの演技が強烈でしたね(笑)

それはさておき、そんな20年近い前の話から今日見たニュースです。

D-Waveの量子コンピュータは「1億倍高速」、NASAやGoogleが会見
https://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/120904017/

1億倍速い?

1億倍速い?

こんな記事を見ました。

NASAやGoogleは2013年5月に「Quantum Artificial Intelligence Lab(QuAIL、量子人工知能研究所)」を設立し、これまで2年間にわたってNASA Ames Research CenterでD-Waveの量子コンピュータを運用し、性能のテストなどを行ってきた。2015年9月には「0」と「1」の情報を重なり合った状態で保持できる「量子ビット」を1000個以上搭載する「D-Wave 2X」を導入している・・・

なんて事が書いてありますが、なんつーかワクワクしますね。『「0」と「1」の情報を重なり合った状態で保持できる「量子ビット」を1000個以上搭載』ってテンション上がります。超AIが開発されて超竜神(勇者王ガオガイガーの仲間メカ)が生まれるかもしれません(笑)

パソコンの性能がどんどん上がっていくことはアニメゲームなどの映像表現にどんな影響を与えるのでしょうか。そもそも、パソコンの性能はどれくらい上がってきたのでしょうか。CPUを作ってるインテルの記事を読んでみると

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Intel Celebrates 40 Years of Digital Revolution
https://newsroom.intel.com/community/intel_newsroom/blog/2011/11/15/intel-celebrates-40-years-of-digital-revolution

For example, compared to the Intel 4004, today’s second-generation Intel® Core™ processors are more than 350,000 times the performance and each transistor uses about 5,000 times less energy. In this same time period, the price of a transistor has dropped by a factor of about 50,000.

と書いてありました。要するに40年前に比べて35万倍だそうです。正確には現在の最新のCPUは40年前のCPU35万個分のパフォーマンスを持ってるそうです。レモン2000個分のビタミンCなんて目じゃない(笑)

40年前と言えば・・・1975年です。この頃のアニメって『一休さん、宇宙の騎士テッカマン、元祖天才バカボン、ゲッターロボG、鋼鉄ジーグ、フランダースの犬、勇者ライディーン、UFOロボグレンダイザー』などです。めっちゃ懐かしい・・・私も産まれてないですが再放送で観ていた覚えがあります。

じゃあ20年前のCPUと今のCPUは・・・と調べてみようと思ったのですが、ちょっと調べた限りはありませんでした。まあ、1000倍〜1万倍くらいでしょうか?約20年くらい前と言えば、私が好きなアニメなら、ガオガイガーもそうですが、マクロスプラス、機動戦士Gガンダム、魔法騎士レイアース、覇王大系リューナイト、新世紀エヴァンゲリオン、GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊、スレイヤーズ・・・まだまだありますが、とりあえず記憶していてパット思いつき、なおかつ当時LDを全部買っていたやつを書いてみました。

40年前のCPUが35万倍優れてるなら、その当時のアニメと比較すると今のアニメは35万倍面白いのか・・・なんてどうでもいいことを考えて見るのは楽しいです。比較のしようがありませんが、どう考えても35万倍優れてるとは思えません。ゲッターロボG(ゲッターロボの続編)やグレンタイザー(マジンガーZの続編)など、今も面々と影響を与えてる作品が今の作品の35万分の1か・・・というとそうではない。CG映像制作に直接影響を与えそうな作画、映像部分だけピックアップしても35万倍優れている!35万倍の生産性だ!とは思えませんよね。

20年前のCPUが1000〜1万倍優れているからと言って、マクロスプラス、機動戦士Gガンダム、魔法騎士レイアース、覇王大系リューナイト、新世紀エヴァンゲリオン、GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊、スレイヤーズ・・・よりも、今の作品の方が1000〜1万倍優れている、映像が素晴らしい!とは思えません。

勿論、これは映像制作に関わる部分だけではありません。パソコンの性能向上が人間の生産性向上に繋がるわけではないのは営業の仕事とかでも同じです。例えば私は営業マンとして4年以上新卒で入った会社で働いていました。その当時、営業先に行くのに何をしていたと思います?まず、地図を買って、時刻表を見て、何分で到着するかな・・・って調べてから行ってたんですよ!ありえないですよね。原始時代です。それが15年ほど前なのですが、その頃と比べてもパソコンはどう低く見積もっても10〜100倍は速くなってるでしょう。しかし、じゃあ、今の営業マンの生産性が10〜100倍になったのかというと・・・経営者の方なら分かると思いますがそんなわけない!(笑)と思うでしょう。営業マンの人も10〜100倍生産性が上がり、売上も10〜100倍、すくなくとも営業利益が10〜100倍になった?問い事はない。

アニメゲームマンガ業界だけではなく、全産業でみても例えば2001年の全産業の売上高は1,338兆2,065億円で経常利益は28兆2,469億円。2014年の全産業の売上は売上高は1,447兆8,425億円で経常利益は64兆5,861億円です。生産性の向上は利益率に主に出ますから、それを計算して見ると2001年が経常利益率2%で2014年が4.4%です。2001年から2014年にかけてパソコンの性能が2倍程度しかアップしてないわけがない。という事はパソコンの性能自体はそれほど人間の生産性向上には影響を与えないのでしょう。

この40年でCPU単体でみても35万倍になりました。そのころのパソコンは基本的にインターネットに繋がってませんからスタンドアローンです。非常に不便です。今はネットにもつながり、消費電力や利便性でCPU以上にパソコンは便利になりました。人間が生活する上でのツールは明らかに進化してるわけです。

しかし、そのツールの進化は人間にどんな影響を与えたのでしょうか。ツールが35万倍進化したけど人間の産み出すものは変わってない?ちょっと別の視点で人類全体はどれくらい幸せになったのか、ということを飢餓人口を通じて調べてみました。

世界の飢餓人口、初めて8億人下回る 国連より引用
https://www.afpbb.com/articles/-/3050053

【5月28日 AFP】世界で飢餓に苦しむ人々が、国連(UN)が統計を取り始めてから初めて、8億人を下回った。国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organisation、FAO)が27日に発表した年次報告書で明らかになった。FAOによると、世界の飢餓人口は約7億9500万人で、1990年~1992年より2億1600万人減少した。

FAOのジョゼ・グラジアノ・ダシルバ(Jose Graziano da Silva)事務局長は、「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals、MDG)での飢餓削減の目標達成に近づいたことは、われわれが生きている間に、飢餓という災厄の廃絶が本当に可能だということを示している」と述べた。報告書によると、発展途上諸国では栄養不良の割合が、25年前と比べ、人口の22.3%から12.9%へ減少した。

とあります。25年前と比べて飢餓人口の比率が半分くらいになった・・・という数字です。25年前と比べて人類の使うCPUは何万倍も速くなってると思いますが、それでも食料生産、飢餓をなくす、という事は実現出来ていません。せいぜい半分くらいに出来た、と言う程度です。

色々データを上げてきましたが、そりゃそうですよね。ツールは便利になったかも知れないし、パソコンも35万倍速くなったかもしれませんが、人間の脳みそは同じです。40年前と比べて同じようなことで面倒だなあと思うでしょうし、同じようなことを喜んでいるはずです。

営業マンの悩みも、農家の悩みも、アニメゲームマンガ業界のみなさんの悩みも40年前と似たような事だと思います。経営者であれば売上に悩んでるでしょうし、資金繰りに悩んでるでしょう。クリエイターであれば締めきりに悩んでるでしょうし、制作進行であればドライブ中の眠気と戦ってるかもしれません。悩みも、喜びもレベルが同じならどれだけツールが進化してもそれほど変わるわけではない。

じゃあ、1億倍高速になったらどうなるのか?更にいえば、1兆倍、100兆倍とかになったら???人間の生産性、アニメゲームマンガはどんなことになるのでしょうか。

私は大して変わらない、と思います。

Infinity Eternity Loop Forever Eternal Concept

Infinity Eternity Loop Forever Eternal Concept

巡回セールスマン問題という問題があります。きちんと説明するとwikiには

巡回セールスマン問題(じゅんかいセールスマンもんだい、英: traveling salesman problem、TSP)は、都市の集合と各2都市間の移動コスト(たとえば距離)が与えられたとき、全ての都市をちょうど一度ずつ巡り出発地に戻る巡回路の総移動コストが最小のものを求める(セールスマンが所定の複数の都市を1回だけ巡回する場合の最短経路を求める)組合せ最適化問題である。

とあります。簡単に言うと、営業マンが何個かの営業先に行き、その営業先にいく料金と距離、時間を考え、もっとも効率的な行き方を考える、と言うモノです。アニメ業界風に言えば制作進行が複数のアニメーターの所に行って動画、原画を回収してくる場合、もっとも最適な経路はどこか、アニメーターの性格、締めきりまで考えて動く、という事です。

人間だったらなんとなくこうやって・・・あそこ行って・・・とわかりますよね?実はコレ、スーパーコンピュータでも数十億年、数百億年かかる問題です。

例えば、気にするべき項目が最適な距離、だけでいいとして都市の数が6個だけ、としましょう。総数は (6 – 1)! = 120 通り。逆回りを省くと 120 / 2 = 60 通りです。直ぐ計算出来ます。

ところが、行き先が10個、100個と多くなると一気に難しくなります。n 個の行き先がある場合は (n – 1)! / 2 個の行き方を調べて計算します。この「階乗」を甘く見ると痛い目にあうのです。巡路の総数が n の階乗に比例して増えるというのは、まさに爆発的に増えるのです。

仮に10個だとしても362880通りです。6から10に増えるだけでコレです。100なら9.332622e+155です。これは

9.332622e+155

です。9.332622×10の155乗です。155乗って(笑)あり得ない数字なのですが、10の14乗年後で100兆年後なので、太陽は爆発してますし、地球もなくなってます。それどころか、宇宙もビックランチしてるかもしれません。行き先100個考えるだけで宇宙スケールです。計算不能です。しかも、コレは純粋に距離だけを考えた数字なので、時間、金額なども考えるともっと計算不能です。更に考えると、営業マンであればお客の気分、予算、市場全体のニーズまできにすることになります。そこまで行くと今から1億倍性能になっても計算出来ないでしょう。

Realistic 3d Scene Of Space Shuttle Launch

Realistic 3d Scene Of Space Shuttle Launch

しかし、面白いことにスーパーコンピューターでも数十億年、数百億年かけても計算不能な問題を人間は近似値ですが解いてしまいます。例えば円周率。円周率は3.14159265359・・・と無理数なので無限に続きますが、3.14だ、と決めてしまいます。他にも複雑な計算式、巡回セールスマン問題でも最適答えを求める方程式、アルゴリズムは考えられています。正解を考えると数十億年から数百億年以上かかるけど、多分コレなら・・・という風に色々考えられています。それが人間の力です。巡回セールスマン問題でも、巡回制作進行動原画回収問題でも、人間はなんとなく解いていますよね。

厳密な答えはわからないけど、コレであってるだろう・・・でスパコン以上の効率を誇る。それが人間の脳みそです。CPUの速度がどれだけ速くなってもこの部分だけは中々パソコンが超える事は出来ません。

これはアニメゲームマンガのクリエイターにも言えることだと思います。

感動するストーリー
格好いいと思うロボット
可愛いと思うキャラクター

これらを厳密に定義せよ・・・ってどうするんでしょうか?無理です。それでもクリエイターの皆さんは

こんなのが格好いい、こんなのをユーザーは求めてる、こんなのを今回発注してきた上司は求めている・・・

というのをなんとなく想像しながら作っていきます。これくらい急いだ方が良い、これくらいはサボって良いまでなんとなく考えて制作していきます。

数学者が考えつく方程式や計算方法、アルゴリズムはあきらかにパソコンの性能以上のひらめきをもっているとしか思えないレベルでひらめきます。スタジオジブリの宮崎駿監督や攻殻機動隊の押井守監督、ヱヴァンゲリヲンの庵野秀明監督などの『作品創造に向けての思考』は計算不能なレベルの複雑さを持っていると思いますが、それでも、世の中に作品が生まれています。

1億倍のパソコンが産まれても、1兆倍のパソコンが産まれても、なかなかこの部分を超える事は出来ないでしょう。無論、CPUの性能が上がると言う事は画像編集のスピードが上がるということですからその分制作は楽になるでしょう。それは大歓迎です。私も趣味で画像編集、動画編集をしていますがもっとはやくなったらとても嬉しい。

しかし、最終的な『作品の面白さ』という計算不能な物を想像するためには人間の脳みそが不可欠です。パソコンの計算スピードは単純計算、答えのある物を計算するのであれば人間より優れているでしょう。でも、問題をそもそも考える能力、計算不能な問題を考える能力はパソコンは勝てません。そう考えると、どれだけパソコンが進化してもアニメゲームマンガの作品はそれほどかわらないのではないでしょうか?無論、映像表現や提供するプラットフォームの変かはあると思います。そこから与えられる感動の質、作品の素晴らしさは変わらないと思います。

それでは、今日も業界発展!承認!ゴルディオンハンマー!!!

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https://www.amazon.co.jp/dp/B00N4G5OTOより。私も買いました^^

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