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2016.07.19 アニメ 東京都知事選 小池百合子さんの公約は「東京をアニメランドに」?表現の自由は守れるか?

秋葉原で異例の公約

現在東京都知事選に立候補している小池百合子元防衛相が、7月17日に秋葉原で行った街頭演説で「東京全体をアニメランドに」といった内容の公約を掲げたことがわかりました。

(引用はじめ)
「AKB48カフェ」と「ガンダムカフェ」が隣り合う前でマイクを手にすると、アニメやマンガに造詣が深いことを必死にアピールした。「去年のハロウィンでは魔法使いサリーのコスプレをした。魔法使いユリーね。今年はリボンの騎士にしようと思います」と謎の“公約”を掲げ「私の地元はトキワ荘があった豊島区、アニメの原点。豊島区が秋葉原と手を結んで、キラーコンテンツを世界に発信して、インバウンドを呼び起こして、東京を元気にする。魔法使いユリーを都知事に!」と“アニメランド化計画”へ支持を求めた。
(引用終わり)

一部のネットメディアでは「若者の支持率上昇か」ともされていますが、コスプレしている作品が『魔法使いサリー』や『リボンの騎士』では、逆に若者はピンと来ないのではないか?とも思えなくもありません。

怪物くんとサリーちゃんと刀剣乱舞の加洲清光という不思議な組み合わせのコスプレ画像とともに、twitterでも大々的にアニメやコミケ開催を守ると発言しています。

koikeyuriko反対派と見られていたが。。。

コミケ開催が話題に上がると、必然的に過去の小池百合子氏が行った正反対の政策についても注目が集まります。以前、小池百合子氏は「マンガやアニメ、映画、ゲームにおける描写を規制する青少年健全育成基本法案」の請願を国会に提出しています。これまで何度も国会に提出されている「児童買春・ポルノ禁止法の早期改正を国会に求める請願」の紹介議員になっていることも小池氏は本当はアニメゲームマンガの表現の自由には反対なのではないか?と見られる根拠になっています。

石原慎太郎知事時代だった2010年、東京では都青少年健全育成条例が改正され特定の性行為を描いた漫画やアニメが18歳未満への販売規制対象なりました。これらの販売規制対象ギリギリのラインを行くのが同人作品と呼ばれるアニメゲーム版権の二次創作である小説や漫画で、夏と冬に東京ビッグサイトで開催されるコミケではこうした大規模な同人誌交換会が運用されています。

今回の小池氏の演説では、そうしたコミケも守る対象になるということですが、コミケでやり取りされる作品の多くは、小池氏の反対している表現の対象になるのではないかということが、過去の請願書提出と今回の公約との乖離を指摘する声にもつながっています。

taroyamada政界にオタクの存在感示した山田太郎氏

なぜ小池百合子氏がこうした方向転換を起こしたのかというと、先の参院選での山田太郎候補のオタク層得票数のめざましい成果が理由として挙げられます。山田太郎氏は7月の参院選で、直前の6月におおさか維新の会から離党し新党改革から出馬を表明、6年前から一貫して進めている「表現の自由を守る」という公約を掲げて短期間でありつつも精力的な活動で、落選はしたものの野党の比例候補では最多となる291,188票の得票数を集めるというめざましい成果を残しました。

落選した理由は、直前の無名政党への変更による戦略ミスのみであり、むしろ再選には至らなかったものの30万近い得票を集めたことについて、山田氏を長年支援してきた漫画家の赤松健氏にも「オタク層が票田になる可能性を示した」とコメントされるなど、政界にオタクの存在感を示し、大きな爪痕を残した結果となっています。

今回の小池氏の方向転換はこうしたオタク層が有効だということへ着目した結果ではないかと考えられます。これまでも小池氏は日本新党、新進党、自由党、保守党、自由民主党と5つの政党を渡り歩いているため、世間では「政界渡り鳥」と揶揄されることもあるほど、自らの目的を達成するために非常にフットワークの軽い動きを見せる人物です。政党が変わっても、目的は変わらず、常にそれを実践できる場を求めて動いてきた彼女だからこそ、今回の戦略に「オタク票を狙う」ということが取り込まれたのでしょう。

 

komike表現の自由反対とコミケを守ることは矛盾しない

一見、表現の規制とコミケを守るということは矛盾するように見えますが、小池氏の選対役員はJ-CASTニュースの取材に対し、 「表現規制推進派というのはデマです。規制を進めると言ったことはありません。表現の自由は、しっかりと守るべきだと思います。ただ、漫画などへの支援と規制とは、正反対のベクトルだとは思えません。目をそむけたくなるものも中にはあり、そこをどのように線引きするか議論が必要でしょうね」と発言しています。

この発言を受けて、これから投票を行うオタク層のみなさんには、「コミケを守る」という言葉の裏に、「それは我々の求めるコミケなのか?」ということを考えてほしいと思います。

例えば、前述の山田太郎氏は実際にコミケにも売り子として参加し続け、コスプレイヤーで腐女子の娘を持ち、自らと秘書がBLネタにされているということも知った上で「表現の自由を守る」と発言していました。そこまで現状や中身を知った上での「コミケを守る」と、「サリーちゃんやリボンの騎士のようなコンテンツを東京のシンボルに」の一環での関連事項としての「コミケを守る」では、まるっきり質が違います。

つまり、コミケを守るために過度のエロやいわゆる「目をそむけたくなる」表現は規制対象として線引きする可能性がある、ということです。積極的に規制を進めるわけではありませんが、あくまで「アニメゲーム漫画やコミケを守るために、最低限やむを得ない規制もあるだろう」といったニュアンスです。一見矛盾しているように見えても「矛盾していないし、表現規制推進派というのはデマだ」と言い切れるのは、このバランスが小池氏の中で取れているからこそなのでしょう。このままではコミケという箱は残るけど、中身は今までのものとは全く違うものになるという可能性もあります。小池氏の頭の中にあるコミケ構想がどのようなものなのかを判断するには、更なる情報を待つこと以外にはなさそうです。

山田太郎氏のオタク得票の成果はこれから色々なところに波及してくるでしょう。今回の小池氏の公約だけではなく、政府レベルや、マスコミ・広告レベルでオタク層抱え込みに向けて発信が増えて来ると思います。それに対して字面だけで判断するのはとても危険です。表面だけ見れば、同じ「表現の自由を守り、アニメゲーム漫画を守る」というところで一致していますが、大切なのは中身です。私達1人1人が慎重に考え、好きなものを守る力を行使することが必要とされています。

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