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2016.06.10 ゲーム業界 サウンドクリエイター向け ゲーム音楽とEDMの関係 最新トレンドをゲーム音楽に取り入れるときの注意点

20160601-01ゲーム音楽

(画像はAmazonより)

日本に本格的なゲームBGM、ゲーム音楽が登場したのは1980年台初期だと言われています。ナムコが発売した「ラリーX」、「ニューラリーX」など、BGMが止まることなく効果音と同時発音されるゲームが登場したのがこの頃です。それから約40年、ゲーム音楽はゲームハードとともに進化してきました。ファミコンのヒットとともにゲーム音楽はお茶の間に届けられ、娯楽性と親しみやすいキャッチーな音楽が多かったということもあって広く受け入れられるようになります。

1984年、元YMOの音楽家、細野晴臣さんがプロデュースした日本初のゲームサウンドトラック「ビデオ・ゲーム・ミュージック」によって、ゲーム音楽の消費形態がゲームで聞くものというだけではなく、CDなどのパッケージで聞いて楽しむという聞くという価値観が開拓されます。その後、ハード面での性能アップによって音源チップによる発音から録音データに移り変わり、現在では多種多様で高音質な音楽をゲーム音楽として用いることができるようになりました。

20160601-02音ゲーとクラブミュージック

(画像はAmazonより)

七音社の「パラッパラッパー」など、音楽とゲームを掛けあわせたゲームが登場する中、1997年にコナミから発売された「beatmania(以下ビーマニ)」は「音ゲー」というジャンルを広めたターニングポイントになりました。このヒットを皮切りにコナミは様々な音楽ゲームを世に出していきます。こうした一連のビーマニシリーズで取り上げられている音楽ジャンルは広範囲な言葉で表すならば「クラブミュージック」にわけられるものです。ゲームに使用されるクラブミュージックのジャンルはその当時の流行を色濃く反映しています。初代のビートマニアはヒップホップやトランス、ガバやドラムンベースなどのジャンルをフューチャーした楽曲が多いのですが、最近ではEDMというジャンルのサウンドや曲の展開が意識され、影響を受けている曲が多く見受けられます。

最近よく聞くEDMって何?

EDMとはエレクトロダンスミュージックの略です。その言葉だけ聞いてしまうと非常に広い意味で使われている単語かと思われますが、実際は一定の型が決まった音楽のジャンルを指すような形で使わることが多い言葉です。日本ではEXILEやAKB 48、ジャニーズ所属のアイドルなどの楽曲に、EDM特有のシンセサウンドや展開が使われはじめ、若い世代を中心にEDMが広まりを見せました。こういう楽曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=sJ6MttUmnVw

EDMの特徴はトランスなどの比較的アッパー系なジャンルの「盛り上げて落とす」という構図によりはっきりとした緩急をつけているという点です。ブリブリとしたベース(Perfumeを想像して頂ければわかりやすいはずです)や綺麗目なシンセ音を曲序盤からならし、長いドラムロールで客を煽りに煽って、ベースとバスドラムのみの大サビに突入するというのがここ数年まで流行していた形です。こうしたジャリジャリ、バリバリとしたサウンドを使ったゲーム音楽は多くなっています。特に音ゲーとは元々親和性が高いため、EDMを中心に添えたイベントなどが現在でも開催されています。アマチュアでも音楽制作がし易い環境になってきたということや、初音ミクなどの影響でDTM(デスクトップミュージック)に興味を持つクリエイター志向の人たちの出現と流行によって、ニコニコ動画やSoundCloudなどのコンテンツ投稿型サイトなどに、多くの作品が次々とアップされている状況です。

20160601-03EDMに対する懐疑的な目?

日本の音楽シーン、特にクラブミュージックシーンには大きな問題点があります。それは海外での流行から2~4年遅れて国内ブームが起きるということです。実は、EDMというジャンルは海外では非常に大きなムーブメントとなっていたのはすでに1~2年ほど前なのです。大規模なフェスが開催され、DJのギャランティは一回の出演料が軽く1000万円を超えるレベルになっていました。EDMバブルが到来していたのですが、実はすでに下火になっているというのです。今年の4月にはblock.fmという音楽情報サイトで公開された「EDMの死」という記事が注目されました。

(引用開始)
その衝撃の記事内容は、ブームによって莫大な出演料をもらっていた所謂EDMスター達の当地ホテルと年間契約金は、契約更新の際に50%も削減されており、理由は関係者たちのEDMに対する疑問、ブームが作り上げた風潮への不満により、その価値の見直しが図られているというものだ。

これを受けて、英国メディア「Fact」は「EDM is Dead」(EDMの死)という文言をつけたタイトルでこのラスベガスの現状を伝える記事を公開。Page Sixの内容を引用し、今回の背景を報じた。
(中略)
今年に入り、EDM関連の大手イベントプロモーション会社SFXが破産、またこのシーンの象徴たる、Aviciiが活動休止を表明するなど、にわかに暗雲が立ち込めつつあるこのシーン。日本ではまだまだ9月に行われるUltra Japanを心待ちにしている声は止むことはないものの、どうやら膨張しすぎた感があるこのシーンの根元から、その価値を見直していきたいという願望があるようだ。
(引用終わり)

引用元:時がきた?海外メディアが「EDMの死について言及」
https://block.fm/news/is_EDM_dead.html

この記事によると元来クラブが持っていたイメージとの食い違いを産んだEDMムーブメントに対する懐疑的な視点と、DJに対するカリスマ性の失墜、EDMそのものに対する飽きなどを背景に、EDMは死んだのだとする意見が挙がっているとのこと。

こういったニュースを聞いてしまうとゲーム音楽でEDMを使うことを躊躇してしまうかもしれませんが、ゲーム音楽の強みは音楽だけで終わらないということです。作品によりけりですが、シンセサウンドと親和性のある世界観が用意されているのであれば、こうしたEDM的な音楽を取り入れることはあまりリスクにはならないでしょう。海外のEDM台頭以降、EDM並に流行している音楽ジャンルが確立されていない移行期ですから、しばらくは日本でも打ち込み系サウンド、特にEDMやダブステップといったジャンルを楽曲に盛り込んでも不自然だと感じる人はまだ少ないはずです。

World provided by Nasa大事なのは流行よりもゲームの世界観

細野晴臣さんがプロデュースした「ビデオ・ゲーム・ミュージック」から現在に至るまで、あらゆるゲーム音楽はゲーム体験と共に鑑賞されてきました。流行を取り入れるということは、聞いている人に対して違和感を感じさせないという点、あらゆる楽曲を制作できるスキルアップのためには非常に重要なことではありますが、それよりも一番大事なのはどういった世界観で作られたゲームなのかという基本的なことです。ただ、ゲームサウンドクリエイターの中にはアレンジャーとして活躍されている方々もいらっしゃいますから、そうしたゲームとは一定の距離が取られると「音楽」として制作しなければならないため、音楽家的目線でトレンドを追いかけるということは、やはり大事になってくることなのかもしれません。

記事を読んでいただきありがとうございました!

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