アニメ 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』 制作決定!スタッフ陣を刷新!松本零士と西崎義展を受け継ぐだけではない・・・!?

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宇宙戦艦ヤマトとは

『宇宙戦艦ヤマト』は、1974年に讀賣テレビ放送・日本テレビ放送網で放送されたテレビアニメ及び、1977年に劇場公開されたアニメーション映画作品です。

西暦2199年、異星人国家・ガミラス帝国の侵略を受ける地球が舞台。海は蒸発し地球は赤茶けて、放射能汚染で地上の生物は死滅していってしまったため、人類は地下都市を建設し、地球防衛軍を結成して抵抗を続けましたが、ガミラスとの科学力の差の前になす術もなく、地下にも放射能汚染が進行し、人類の絶滅まであと一年と迫ってしまっていましたが、宇宙の彼方イスカンダル星から、「放射能除去装置 コスモクリーナーDを受け取りに来るように」とのメッセージと、航海に必要な波動エンジンの設計図が届きます。 そこで、地球防衛軍は250年前の世界大戦の末に沈んだ戦艦「大和」に波動エンジンを搭載し、コスモクリーナーの受領のための宇宙戦艦「ヤマト」に改造し「1年以内に地球に帰還しなければ人類滅亡」という状況の中、宇宙戦艦ヤマトは人類最後の希望を託されて往復29万6千光年の旅に発つ・・・

というあらすじの壮大なSF作品です。アニメゲーム漫画業界の社長達にも圧倒的な支持を受ける『宇宙戦艦ヤマト』は、前述の1974年、1977年の最初の『ヤマト』以降、何度もリメイクや実写映画化、スピンオフを繰り返して伝説的大人気作品へと進化していきました。テレビ放送当時は視聴率ビデオリサーチ調べで平均6.0%、ニールセン調べで平均7.3%と振るわない数字でしたが、地方放送局を中心にした再放送で評価を上げていき、のちに声優ブームの火付け役作品であるとか、エヴァンゲリオンの庵野監督をはじめとする『ヤマト』に影響を受けた『ヤマト世代』のクリエイターを多く輩出することにもつながりました。

images松本零士監督と西崎義展プロデューサー

宇宙戦艦ヤマトのキービジュアルと言えば、特徴的な形状の宇宙戦艦ヤマトと、美しいヒロイン森雪を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ヤマトのプロデューサー、西崎義展氏が自らのエッセイで語るところによると松本零士が漫画ゴラクで連載していた『セクサロイド』の主人公ユキに感銘を受け、デザイン監修を依頼したことが、キャラ・メカデザイン兼監督兼漫画家の「松本零士監督」誕生のきっかけになりました。監督業の部分では、のちに株式会社アートランド(現・株式会社アニメーションスタジオ・アートランド)の創業社長となる、エフェクトアニメーションの大家、石黒昇氏のサポートも受けつつ、SFの要素に新撰組的なキャラメイクも入れて、本格的に作品としての完成度も上がっていきます。

それまで、西崎義展プロデューサーといえば「悪党」「人並み外れたワンマン」「アニメ業界とは外れた我が儘」「計算高い男」という評価をされて、一時はあの漫画の神様手塚治虫氏の虫プロの役員も務めるなど音楽業界から一人飛び出してきてアニメ業界をかき回しました。圧倒的なエネルギーで各アニメ業界のトップを懐柔しながら自分の意のままにことを運びますが、未だにアニメ業界の中では西崎氏の名前を出すと苦々しい顔をする人がいるほど、「好かれるか嫌われるか」の両極端しかない激しい性格の人物のようでした。そのため、企画持ちこみなどの営業の手腕はあるもののスタッフが付いてこず、虫プロの経営に失敗して現場を混乱させた末に倒産を引き起こすという事件もありました。ヤマトがヒットする直前まで手がけていた『海のトリトン』『山ねずみロッキーチャック』『ワンサくん』は、いずれも商業的には失敗に終わりました。

西崎氏にとって松本零士監督の才能は自身の作品を成功させるために必須の存在でした。そのため、後に裁判で争うことになる「監督・著作は誰なのか?」という部分に関して、実質的な原作者であり監督は西崎氏であったにも関わらず、松本零士氏にアートワークの部分でやりがいを持って取り組んで欲しいとの考え方で松本氏に監督というポジションを譲ったと考えられます。あくまで、西崎氏の関心は作品そのものではなく、その作品が商業的に成功をするかどうかだったのです。その後、思惑通りヤマトは大成功しますが、西崎氏本人は得た巨富を豪遊につぎ込んで、覚醒剤の不法所持等で逮捕され、投獄ののち晩年は車いす生活をしていたところ、自身の素地するクルーザー「ヤマト」から転落して没するという、スキャンダラスな人生を送ります。その模様は『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』にも詳しく紹介されていますので、ぜひ一読してみて下さい。

comment_nishizaki漫画映画をアニメーションにした功績

悪党だなんだかんだと言っても、人物の評価は別としてプロデューサーとしての手腕は群を抜いていた西崎氏は、いくつも興業を失敗し、会社を潰し、アニメーターの賃下げを厳しく要求するなどの紆余曲折を経て、1代で漫画映画をアニメーションにしたという功績を作りました。当時、『ヤマト』が西崎氏の作品だと知って反感を持ち、4話にだけ参加して現場を去った、後の『機動戦士ガンダム』の監督、富野由悠季氏も西崎氏のプロデューサーの腕を認めていたからこそ、作品を成功させるという同じ土台で戦うべく、「ロボットを使ってでも、ヤマトを倒す」と決意していたそうです。優秀なプロデューサーが原作をよりよいものに表現する芸術家を指揮して作品を作り上げるという、プロデューサーありきの制作体制の原型を作ったという意味でも、単なるSF作品の定番という以外の見え方を提示してくれる作品です。

また、今回の新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』 では、スタッフを一新することも話題になりましたが、製作総指揮に西崎彰司氏の名前があります。彼は、西崎氏の養子の一人で、ヤマトの版権管理などを行う会社を経営しています。また、本作のシリーズ構成を務める福井晴敏氏は生粋のガンダムファン。『ヤマト』に対抗して作り上げた『ガンダム』派であり「富野ウォッチャー」を名乗る、『ヤマト』ファンとは対照的な立ち位置にいる小説家をシリーズ構成に置いた西崎氏の真意が気になるところです。

放送時期やキャスト、ストーリーなどはまだ未定です。
アニメ業界の歴史を作り替えたバックボーンをおさらいしつつ、続報を待ちましょう!

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』
https://yamato2202.net/

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