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2015.12.19 アニメ業界 制作進行 業界発展の鍵は制作進行にあり?

SHIROBAKO見たことありますか?

「SHIROBAKO」というアニメを見たことありますか?

私が最近見たアニメで「SHIROBAKO」という作品があります。アニメ会社のお仕事の話ですが、そのなかでも、特にテンションが上がってみていたのが、ヒロイン、宮森あおいの神業的ドライビングテクニック!それはまさに、まんま「イニシャルDじゃん!!」というツッコミを入れたくなるようなハンドルさばきでしたが、いやいやちょっと待てよ・・・この移動時間って本当に必要なのか??経営的には凄い無駄じゃないか??と思いこの記事を書いてます。では、そんな時間を減らす方法はないかと色々探しているといくつか新しい取り組みをしているアニメ制作会社があったので紹介していきます。

一つ目が地方にアニメスタジオをつくり、現地の人材を育成しつつアニメ制作に取り組むというスタイルです。最近、「あのアニメ会社、地方のここでつくっているんだよ。」という話を時々聞きます。P.A.WORKSが富山県主体で、京都アニメーションが京都府主体で制作していることは知っていましたが、実際、本社は東京、スタジオは地方という企業が増えてきているようです。

先月の日本経済新聞の記事によると有名スタジオが地方にもスタジオを出していることが書かれていました。

ufotable   徳島県
ライデンフィルム 大阪・京都
ガイナックス   福島
WHITE FOX   静岡
Production I.G.  新潟

「アニメは地方のほうが人を育てやすい」というのが堀川氏の見解。その理由について、「現在の作品は3カ月の1クールものが主流ですが、その期間中に人材育成の成果を出すのは無理な話で、組織的な中長期プロジェクトとして取り組まなくてはいけない」からだと語る。

「アニメ業界は慢性的な人材不足です。人を育て、制作のラインを社内に確保することで、スケジュール管理をしっかりして無駄なコストを減らす。すると、原画単価(のアップ)などに回せます」

スタジオの多い東京だとスタッフが流動的になってしまうが、「地方に来るということは腰を据えてやろうという覚悟がある。彼らに計画をきちんと説明して協力してもらう」ことで、離職率を低く抑え、人材育成してきたのだとか。

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アニメスタジオが地方に定着 富山・徳島など

このようなことをするメリットとしては、いい意味で自分たちを追い込めることです。地方に来ると言うことはそう簡単に逃げ出せるわけではないですし。ただその分社内にリソースを確保する必要が出てきます。単に地方にスタジオを作れば解決するという単純な話ではなく、中長期的な人材育成と人材確保を伴う組織運営、採用計画が必要です。それをクリアできれば、社内で制作が管理できることにより、原画のアップなどのスケジュール管理がしやすく、大幅に時間とコストを抑えることができます。

では逆に地方ではなくアニメ業界の本拠地とも言える東京では、どのようになっているのでしょうか?

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中小企業基盤整備機構のナレッジリサーチ事業行った「コンテンツ産業の方向性に関する調査研究」(アニメ制作会社の現状と課題)によると、日本のアニメ会社・アニメスタジオは全国700社、そのうち600社ほどが、東京西部に集中しています。しかしながらこれらの会社のほとんどは小規模な会社であり、アニメ制作の仕事を引き受けても1社ではまかないきれないため、元請けとなる会社に複数のアニメ制作会社が下請けとして協力する形で制作されています。しかも、アニメタイトルごとにその組み合わせが流動的に変わります。さらに各アニメ制作会社でも、社内ですべてを制作しているわけではありません。アニメーターの多くは、在宅で仕事をしており、動画や原画ができるたびに制作進行がアニメーターの家まで取りに行く業務があります。

shirobako

そういった業界のことを細かく表現しているアニメが、冒頭にも取り上げたP.A.WORKS制作の「SHIROBAKO」です。このアニメは2014年10月に放送されました。この作品はアニメ制作会社もあるある話として納得するほどよくできているということを聞きますし、営業でまわってみて実際そうだと私自身も思います。話が少しそれますが、「SHIROBAKO」のヒロイン、宮森あおいは、アニメ制作会社に就職し、制作進行として日々業務を行っているのですが、とにかく運転しているシーンが多かった。しかも神業的なドライビングテクニックでした。実際そんな制作進行の方がいたらお会いしてみたいものです。

「SHIROBAKO」のアニメ業界あるあるとして描かれている、制作進行による動画・原画集めは、経営的に見ても非常に無駄な時間です。できあがるまで待たされる時間やアニメーターの家への往復の時間などは、最初から一カ所に集まって仕事をすれば済むことです。移動時間が増えてもアニメ制作においてなんらメリットはありません。

どれだけがんばって移動しても、成果物が何か生まれるわけではない

どれだけがんばって移動しても、成果物が何か生まれるわけではない

これに加えてもう一つの理由が、未だに作画部分に紙媒体を使用していることです。2009年頃にはセルアニメーションからデジタルアニメーションへの移行がほぼ完了していましたが、作画部分に関しては未だに紙媒体を使用しています。そのため制作進行が未だに、動画や原画をもらうために在宅のアニメーターの家に訪問しています。紙媒体からデジタルに移行できない大きな理由として、作画監督やベテランアニメーターほど、紙と鉛筆のタッチを大事にしていることが挙げられます。そのため作画部分に関してはデジタル化が遅れています。某大手のアニメ制作会社では、ベテランアニメーターにデジタル作画のスキルをつけてもらうよりも、一からデジタルでの作画監督を育成した方が良いとのことで数年がかりで育成している会社もあります。

デジタル作画の導入によってできることはなんだろう?

デジタル作画の導入によってできることはなんだろう?

アニメ制作会社の社長であればご存知かもしれませんが、デジタル作画にすると様々なメリットがあります。毎ナビのレポートによると、デジタル作画に挑戦するメリット、目的として以下が挙げられていました。

・コストダウンや生産量アップ
・紙がなくなることによる制作上の負担減
・データが取り回しに便利・プレビューが見やすい
・修正しやすい
・3DCGと親和性があるから
・海外と共同制作したいがデジタル作画メインだから
・4K以上の制作に備えて
・なんとなくそういう風潮だから

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「アニメ業界の”特殊”な働き方を変えたい」- デジタル化に取り組む気鋭の制作会社が語る「現状」

デジタル作画の導入されると、スタジオから大量の紙によって発生するほこりやカビの防止や、クラウドサーバーなどを使ったデータの共有が可能となります。そうなれば、日本全国どこにスタジオがあろうと関係なくデータのやり取りができますし、制作進行の負担もかなり減るのではないかと思います。

アニメ業界を改革する鍵として、地方スタジオの設立やデジタル作画の話をしましたが、どちらもいかに制作進行の移動時間と負担を減らし、コスト削減に繋げられるかということの必要性が少しでもわかっていただけたかと思います。

アニメ業界の明るい未来を目指して!

アニメ業界の明るい未来を目指して!

私自身、アニメを見ることが大好きですし、アニメ制作をしている方々にはいい環境で仕事に取り組んでいただきたいと思っています。そして、いい作品をどんどん生み出してアニメ業界がもっともっと盛り上がっていくお手伝いをしていきたいです。

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