記事を読んで頂き有り難うございます。今回の記事は、VRについて書きたいと思います。VRといえばゲーム、エンターテインメント産業への応用が話題にあがります。確かに、VRによってゲームも映画も、表現の幅は劇的は広がります。しかしVRの技術は、ゲーム以外の領域においても、インパクトを与えています。
左の図表はゴールドマンサックスの調べですが、2025年時点でのVR/ARのソフトウェア市場について調べたものです。ゲーム産業は元も多く116億ドルですが、医療などのヘルスケア領域においては51億ドル、続いてエンジニアリング領域においても47億ドル程度の市場規模になると予測しています。今回は敢えて、医学に注目した記事を書いて見ました。
エンターテインメント領域に続いて多い医療分野について見てみましょう。医療領域について、分かりやすい応用例としてはVRの「遠隔化」を活かした例があります。VRを用いれば、遠隔地における緊急の手術に対応することができます。問診の手間を節約することで看護師の手間を少なくし、病院のキャパシティを広げる事にも繋げられるかもしれません。介護などの場面でも役に立ちます。
※VR手術についての参考記事
https://japanese.engadget.com/2016/04/12/4-14-vr-vr/
もう一つ、医療の領域で画期的なのは、「視覚を通じて、脳機能に介入しやすくなる」という応用例です。視覚機能には、人間の身体の神経が集中しており、五覚の中でも最も脳に対してフィードバックする情報量の多い感覚器官です。VRは視覚全体を覆って映像の中に浸る事を可能にするデバイスであり、使い方次第で、脳に良い影響を与えることができるのです。
具体的には、高所恐怖症の克服の為にVRを使って高所への恐怖感を徐々に克服していくプログラムをつくったり、四肢を失い義足・義手になっている人の幻肢痛(脳が手足があるかのように錯覚することで、実際には感じていない痛覚を感じる症状)を克服するために手足の擬似的な映像を映し出したりするなど、非常に幅広い用途があります。視覚機能を経由することで、記憶や認識など人格のコアになる部分に介入することができるようになるので、あらゆる精神病や神経症に対して効果を発揮していくかもしれません。
※高所恐怖症とVRについて参考
※幻肢痛とVRについての記事
https://www.okadaimasui.com/jp/virtualreality/virtualreality.html
ゲームやエンタテインメントに限定してVR技術のポテンシャルを測ってしまうことはもったいないです。視覚を通じて、人間の脳へとダイレクトに作用できるVRは、医療に応用出来る位ですからある意味「劇薬」とも呼べる技術です。当然、ゲームや映画が人間の心理に与える影響も大きくなるでしょう。ゲームやエンタテインメントが人間にどんな影響を与えるのか、古くて新しいテーマです。医学的にどんな応用がされているのか、目配せをしておくことは、エンターテインメントの世界で、どこまでの表現が許され、どこからは危険なのか、「境界線」を見極めることに繋がるはずです。いいゲームの企画、面白いコンテンツを考える上でも、全く畑違いの業界の情報をいれる事は、発想を豊かにしてくれるはずです。今回は医療に絞って特集してみました。今後もVRについて幅広くウォッチしていきます。今回の記事が皆さんのご参考になれればと思います。