ぼのぼののアニメ化が発表されましたね!
ぼのぼの:不条理ギャグマンガが20年ぶりテレビアニメ化
https://mantan-web.jp/2015/12/17/20151216dog00m200043000c.html
2015年は、懐かしい系コンテンツの再アニメ化ニュースが目立ちました。「天地無用!」の続編「愛・天地無用!」や「フルメタル・パニック!」、「ナースウィッチ小麦ちゃん マジカルて」、まだ詳細は明かされていないものの、「セイバーマリオネット」シリーズも何かしら動きがあるようです。去年は「セーラームーン」のリバイバルもありました。全て90年代〜00年代初頭ヒットアニメの再興であり、アニメファンとしては嬉しい反面「何だか昔の焼き直しばかりになるのは勿体ないなぁ・・・」という気もします。もちろん昔懐かしいコンテンツが20年近い時を超えてどう現在に甦るのか楽しみではあるのですが、全く新しい一作品に衝撃を受けるという、映像作品ファンならではの喜びも味わいたいと思ってしまうからです・・・。しかしもちろん、アニメファンを中心に世界が回っているわけではありません。アニメ業界だってビジネスです。何故そんなにリバイバルアニメが増えているのか、アニメ業界の売上は伸びているのか?等をここで簡単に見てみたいと思います。
まずアニメ産業市場の売り上げ推移ですが、ここには2種類の「売上」データがあります。1つはアニメ制作会社全体の売上。もう一つはユーザーがアニメ関連コンテンツに利用した金額の総額売上です。順番に見ていきましょう。(全てデータは日本動画協会のアニメ産業レポート2014より)
奇しくも90年代のデータが不足しているのですが、2002年のアニメ制作会社売上は1,365億円。多分それより売上が劇的に高かった!ということは90年代中には無いでしょう。その後2005年に2.232億円まで上がりますが、2009年に(多分リーマンショックの影響で)突然ダウン、2013年には1,834億円まで復活していますが、2000年初等にはまだ届いていません。
一方でTVアニメタイトル数は右肩上がりです。2002年には154本だったのが、2013年には271本!劇場版なども含めればもっと本数は増えているはずですが、仮に単純計算しても1本あたりのTVにかけられるアニメ制作予算は10年かけて3割もダウンしています。
しかし!アニメ関連産業規模は右肩上がり。2009年の一事不況にも負けず、2013年には2008年の売上を超え、この次の年に出た「デジタルコンテンツ白書」では2014年のアニメ産業市場は1兆5,988億円(推定)にまで伸びています!そりゃアニメのコラボも増えるはずです。因みに上のグラフで2008年から突然現れる黄色い部分は「遊興(パチンコ・パチスロ)」関連の売上です。08年から調査が始まったため突然増えていますが、アニメ系CR業界に大きな影響を与えたと思われる「CR新世紀エヴァンゲリオン」は2004年に発売しているので、それ以前も多少あったのでは無いでしょうか。なんであれ、現在はアニメコンテンツを乗せれば一定数売れる、という市場が形成されつつあることがわかります。
まとめるとこうです。
・アニメ産業に関わるものの売上は伸びている
・アニメの本数は増えている
・アニメ制作会社の予算は減っている
そうすると、懐かしコンテンツの再興の裏側もわかってきます。すなはち「低リスクでアニメに関わる産業を起ち上げ、売上を上げたい」という製作側(制作、ではなくプロデューサーや配給側)の思いです。もちろんアニメ産業規模が増えるということは、それに伴いアニメ制作意外に必要なコストも増えます。アニメ制作だけにお金を使うのではアニメ産業は売上になりません。それであれば「制作コストを安く抑えて」「大きな売上を上げる」ために、確実にファンが付く上に初期設定がある程度固まっている昔のコンテンツをリバイバルとして売り出すのです。アニメは初期設定だけですらかなりのお金と時間を使いますし、クリエイターは皆忙しく有名であればあるほど全然空きません。であれば余計に過去のコンテンツの方が使いやすいということになります。勿論リバイバルコンテンツが手抜きとは言いませんし思いませんが、先にファンが付いていてリスクが低い、というのは確かだと思います。
ここから見えるアニメ業界ですが、少なくともアニメ制作自身のニーズは大変高くなっているので、しばらく仕事には困らないでしょう。何しろ通常のアニメ制作に加えてパチンコ・パチスロでもアニメ制作が必要なのです。パチ系の仕事は近年の規制でやや減ったものの、アニメ番組の本数は増す一方です。しかし制作費としては下がっているわけですから、アニメ業界(制作側)に入ったら今後超高給取りに!という訳でも残念ながら無さそうです。しかしアニメコンテンツのプロデュース(製作)側は売上も上がっていますし、これからも力が入っていくことと思われます。現在アニメのプロデュース側にいるという人には、かなり良い状況です。
現在はワーナーさんからアニメプロデューサーも募集しています(経験者のみ)
今は「アニメのファンです!」というだけではアニメ製作側に行けません。なぜならアニメというのは既にいちビジネスとして盛り上がりを見せているため、コンテンツの競争は生き馬の目を抜く勢いなのです。ビジネスについて精通し、広告やマーケティング知識もあり、その上でコアなアニメ知識も持ち合わせている人がアニメ業界を牽引してゆくのには最も求められています。そしてそういう人がアニメ制作会社への制作費を上げて人材にまで十分な給与が回るようなアニメ制作が後々できたら・・・それはもう素晴らしい世界です。そしてアニメ会社さんで人材が育ち、作画の良いアニメが増えたら・・・そんなことを毎日夢見つつ、今日もラクジョブは更新されるのです。