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2019.06.20 ”パクリ”はどこまで許される?中編「法律外でモラルが問われるパクリ問題」【アニメゲームマンガ転職コラム(+猫)】

img_4028ここでは、ラクジョブメルマガで会員の皆さんにお届けしている就職・転職に関するコラム(と、全く無関係に撮られた弊社の猫の写真)をお送りします! ちなみに本日の猫は「トレスされている猫」です。本編とは関係ありません。

今日のテーマは「”パクリ”はどこまで許される?中編 法律外でモラルが問われるパクリ問題」です。

パクリとオマージュの境界線を追うコラム連載の中編は「モラルが問われるパクリ」を取り上げます。
前編で扱った「法律上裁かれる盗用」は、盗用元(オリジナル)の作品をそのまま使っており、本質的なアイデアが共通している場合に認定される可能性が高くなります。例として以前話題になった無料漫画閲覧サイトなどを挙げました。しかし、これらは「パクリ」「パロディ」と言うより明らかに悪意のある著作権の侵害です。今日は、ネット上で話題にされながらも結論が法廷などに持ち込まれていない「パクリ疑惑」の問題について取り上げます。

【トレスはなぜ問題なのか?】
一時期いくつもの論争が立ち上がった「トレス問題」「トレパク問題」というものがありました。これは、漫画やイラストを描くにあたって別の写真やイラスト等をトレースして描いたのではないかという問題です。著作権を持つ人から許可をもらわないままトレースして作品を発表することは、「複写」という行為になり違法となります。
しかし、厳密にはトレース行為の全てがNGなわけではありません。例えば著作権フリーの画像や自分で撮影した写真などであれば、いくらトレースしても問題はありません。また、個人で楽しむ範囲内でのトレース(公開予定のないイラストの練習など)も問題ありません。SNSなども含め、自分の作品として外部に発表した段階で問題になるのです。盗用元の写真と盗用後の作品の趣旨が全く違うものであったとしても対象となります。
ちなみに、現在調べた限りではトレパク問題そのものが訴訟になった例はなく、問題になって騒ぎが大きくなった段階で作家や制作者側が差し替え等の形で自主規制を行なっています
しかし、線のトレスは認められないが「構図が似ている」「ポーズが似ている」というような場合はどうなるのでしょうか?

【キャラデザが似過ぎている場合はパクリになるのか?】
構図やポーズ、キャラデザが似ているという場合は法律で規制されるのでしょうか。結論から言えば、「されないことが多い」です。とはいえ、作品の混合が起こる可能性がある場合には注意が必要です。例えばディズニーキャラクターにそっくりなイラストを印刷してそのまま販売されたお菓子などが昔はよくありました。お菓子の購買層である子供がディズニーのものだと勘違いして購入してしまうようなことが起こる場合、著作権侵害を問われることがあります。
漫画やアニメで「このキャラクター、別作品の××に似てるな」と思わせるような演出はたまにありますが、それは場合によって「オマージュ」として歓迎されます。その辺りの消費者意識は次回取り上げることにしましょう。

【「原案のパクリ」は泣き寝入りなのか?】
アニメ、ゲーム、漫画は数えきれないほどの作品数があるからこそ、設定が似ている場合もあります。また、最近も大ヒットした映画『カメラを止めるな!』に対して「自分の作品をベースにした作品だから、原作表記を入れて欲しい」と劇団主催者から主張された件が話題になりました。この時、「構成やストーリーは違うから“原案”なのでは」という論争などが生まれましたが、結果的に映画監督と劇団主催者が「お互いのオリジナル性がなければ産まれなかった作品」という合意に達し、「共同原作」として2人の名前がクレジットされることとなりました。
これは元関係者ということもあり合意の取れた例ですが、「あの作品は自分のアイデアが元ネタ(原案)だ」という主張は証拠が揃えづらく、明らかな作品上の共通点(構成や展開、セリフなど)が無い限りは盗作や著作権侵害として認められにくいパターンの方が多いでしょう。
トレースは完全なる盗作扱いですが、キャラクターデザインや構図が似ているだけ、原案が似ているだけという場合は法律的には裁かれません。しかしユーザーの感情に反したり、似せられた元の作者や企業から反感を買って炎上するパターンもあるので、あまり積極的には行わない方が良いでしょう。

さて、次回は許されるパクリ、オマージュの境界線を、過去の例を元に考えます!

toiawasenew

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平田 ビ・ハイア株式会社副社長 » 詳細プロフィール

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ビ・ハイア株式会社副社長

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