パズドラを代表として1,400倍に成長した業界
ソーシャルゲームが流行り始めてから、そしてゲームアプリが登場してから、いくらかの年月が経ちました。2007年には4億円ほどの市場しかなかったソーシャルゲームも今や5622億円と約1400倍になっています。グリーやモバゲーのプラットフォーム上で展開されるゲームから、「パズドラ」を代表するゲームアプリが登場し、もうすぐ4周年を迎えようとしていますが、その人気は健在です。
MMD研究所の調査でも、41.1%がパズドラで遊んだことがあると回答しており、「LINE:ディズニーツムツム」31.8%、「モンスターストライク」19.3%とも差をつけています。
ゲームアプリの場合、売り切りのコンシューマーゲームと違い、プレイヤーがゲームをプレイし続けます。もちろん途中で飽きてやめてしまうことはあるかもしれませんが、コンシューマーゲームのそれと比べれば圧倒的にロングスパンです。そんな単純な話ではないですが、例えば、パズドラの4周年から考えると、コンシューマーゲームを4年間ユーザーからのフィードバックもありで開発し続けることができるのだとしたら相当いいゲームに作り込めるのではないでしょうか。
さらにはプレイし続けることによってプレイヤーもそのゲームに愛着が沸きます(もう少し生々しい言い方だとサンクコストが蓄積されます)。ゲームアプリとプレイヤーの密接な関係はなかなかと切れることはありません。
パズドラを超えるゲームは何だろか?
しかし、これは喜ばしいことであると同時にある問題点も抱えています。それは新規ゲームの参入がどんどん難しくなるということです。「パズドラを超えるゲーム」ということは簡単ですが、それは全日本人の40%以上に遊ばれるゲームということです。
いずれはそのようなゲームも出てくるでしょうが、「今自分が作っているゲームがまさにそれだ」と言える人はなかなかいないと思います(個人的にはそんな野心的な人が増えてほしいと思っていますが)。
プレイヤー数でいうと確かにパズドラを超えることは難しいですが、セールスランキングでいうと必ずしもパズドラ一強というわけでもありません。一方でそうかもしれませんが、近年パズドラの牙城を崩しかねないゲームが登場しています。
モンストやツムツムもパズドラとのデッドヒートを繰り広げています。そして2015年8月に登場した「Fate/Grand Order」(FGO)もその一つです。しかし、パズドラ、モンスト、ツムツムとFGOでは大きく異なる点が一つあります。それが、プレイヤー数です。
FGO400万人パズドラ4,000万人
まだリリース半年経ってないということもありますが、FGOはまだ400万DLです。それに比べて、パスドラの場合は4000万DL近くされています。休眠ユーザーを考えないのであれば、プレイヤー数に10倍の差があることになります。
しかし、売上のでは、同程度の実力を発揮することもあります。このことから考えるに1/10しかプレイヤーはいないけれど、一人当たりの課金単価が10倍のゲームということになります。コアなファンが多い分一人一人のお金の使い方が荒いということでしょう。ガラケーのソーシャルゲーム時代から呼ばれていた言葉では、ARPU(Average Revenue Per User 会員数1人あたりの平均単価)やARPPU(Average Revenue Per Paid User 課金者1人当たりの平均単価)というような言葉も使われていますが、単純に言ってしまうと客単価が高い商品ということです。
もちろん基本無料のビジネスモデルなので、パブリッシャー側で価格設定することはできませんが、運営のやり方次第では、課金の調整も可能です。過去にも加減に失敗した運営がコンプガチャ問題を引き起こしたり、つい最近でも「グランブルーファンタジー」で炎上騒ぎがあったりしました。逆にパズドラでは、有料アイテムを多めに配るなどの施策をし、あえて短期的にあ売上が上がりすぎないように、プレイヤーが課金しすぎて疲弊しないようにしているそうです。
射幸性を上げすぎて売上を上げるとデメリットもある
この話を聞いて一つ思い出すのが、パチンコ・パチスロ(遊技機)の存在です。遊技機も固定の客単価があるわけではありませんが、年々射幸性が高くなり(ハイリスクハイリターンな台が増え)、プレイヤー離れが進んでいます。特に金銭的に遊ぶことが難しくなった若年層の遊技機離れが業界的に問題になっています。そして一部には、この層の若年層が空いた時間をゲームアプリに使い始めたためゲームアプリプレイヤーが増えたのではないかという声も聞いています。
ゲームアプリは基本無料のものが多いですが、それが通用するのは、お金をかけなくてもある程度楽しめるからです。それが、もし課金しなければ楽しめなくなってしまうと、重課金プレイヤーだけがゲームアプリを楽しめて、課金するお金のない人はゲームアプリで遊ぶことをやめてしまうという未来も想像できます。遊技機の場合は行き過ぎた射幸性には「規制」と呼ばれる業界全体へのお達しで基準を満たす台しか出荷できないというルールがあります。ゲームの場合は遊技機の規制に当たるものこそないですが、コンプガチャ問題の時には消費者庁が景品表示法違反の正式見解を発表したように社会問題にまで発展しかねません。課金率を高くする、課金額を高くすることは、売上を上げる上で当然の戦略ですが、行き過ぎるとやがては業界全体、市場そのものにも影響を与えかねない大問題に発展しかねません。
遊技機の規制が遊技機業界ではニュースになっています。しかし、ソーシャルゲーム業界からは殆どそれが話題に上がりません。この、自分の業界にとって関係ないモノを繋げて考えおくことは将来的に自社の発展に繋がるのではないか?と思いこの記事を書きました。読んでいただきありがとうございます。
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