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2016.01.05 アニメ業界激震!!硬質色鉛筆の生産終了 死活問題!生産終了する「硬質色鉛筆」ってなに?

iroenpituアニメ業界を青ざめさせた死活問題!生産終了する「硬質色鉛筆」ってなに?

引用始め

三菱鉛筆が発表した「赤」以外の硬質色鉛筆の生産終了だ。死活問題となっているのは、日本の大きな産業、アニメ業界だ。この事態に、とうとう日本アニメーター・演出協会も乗り出す大騒ぎになった。結果、三菱鉛筆株式会社と協議を重ねて、当面の間は「赤」以外の「水・黄緑・橙」についても継続販売されることになった。

引用終わり

Fotolia_55732523_Subscription_Monthly_Mアニメ業界にとって、寝耳に水の事態、デジタル化の波が予期せぬ方から飛んできてしまいました。それがこの硬質色鉛筆の生産終了のお知らせです。硬質色鉛筆は、芯径が細く硬いため、グラフや図面を書く時に重宝されていました。しかしながら製図の場面でもデジタル化がすすみ需要がどんどん減っているそうです。それによって三菱鉛筆は、硬質色鉛筆7700番の「赤」以外の生産を昨年内で終了することを決定しました。

そこで最も煽りを食らうのがアニメ業界なのです。日本のアニメーションは15年ほど前よりセルアニメーションからデジタルアニメーションへと移行してきました。しかしながら作画の部分に関しては、未だに手書きで行われています。アニメーター、特にベテランになればなるほど慣れ親しんだ鉛筆でのタッチを大事にしているのです。鉛筆でのタッチや感触、飛び散る黒鉛の雰囲気まで、そこまでのこだわりがあったからこそ、今のアニメーションが支えられており、数々の有名なアニメや一部のコアなファンから称えられる神作画なるカットが生まれてきました。

animekyoukaiこの突然の知らせに、危機感を持ったアニメ業界は、業界団体である日本アニメーター・演出協会までも動く事態となりました。協会は、どのような点で困るのか、代用品はどんなものがあるのかなどを各アニメ会社にアンケートを取り、三菱鉛筆と交渉した結果、12月1日に「赤」に加えて、「水色・黄緑色・橙色」の販売も当面継続することになりました。普通の人であれば、一色あれば大丈夫そうに思うかもしれませんが、アニメの制作現場では、輪郭の黒の他に、影の部分との境目やキャラクターの奥行きの表現のために数種類の色に分けて原画を作成しています。

このように決着し、一旦は凌ぐことができそうですが、まだ市場の混乱は続いており、硬質色鉛筆の在庫は少なく、新規の注文が受けられなかったり、生産終了の報道により、あちこちに重複発注していることも混乱の原因のようです。加えて、需要が増えないことは変わらないので、生産がいつまで続くかは不透明とのことです。

ただ一方で、この出来事は業界全体を変える大きなチャンスでもあります。先ほどお話ししたように原画の部分に関しては、未だに鉛筆を使った手書きです。さらに、アニメーターは幾つもの仕事を掛け持ちしていたり、在宅での勤務を行っていたりと、アニメのタイトルやカットごとにアニメ会社の制作進行は、カットが出来上がるたびに回収に回らなければなりません。現在、アニメ会社は全国で700社前後あり、うち600社が西東京に固まっており、さらにその周辺にアニメーターが住んでいるという状態ですが、近いとはいえ車での回収、この移動時間であったり移動にかかるコストはアニメ業界の経営側からしてみれば大きな負担になっているでしょう。

51BNcounDELマネジメント経営のドラッカーの言葉を借りるなら、

引用始め

あらゆるものがエントロピーの法則から逃れられず、放っておけば形態を失っていく。エントロピーとは「乱雑さ」をいう。乱雑さは増大する。われわれはこれを覆水盆に返らずという。ドラッカーは陳腐化と言う。すべての事物は陳腐化する。よって、自らが陳腐化の主導権をとれと助言する。

中略

伝統企業ほど、そのような自らの陳腐化していく努力を怠らない。逆に言えば、長寿企業は自らの陳腐化に熱心だったからこそ、その長い命脈を保ってきた。他方で、陳腐化させる努力を怠ったために、他者によって陳腐化させられていった企業や事業は、枚挙の暇がない。

引用終わり

つまり今のアニメ業界がこの引用文の伝統企業にあたります。文房具業界でもデジタル化が進み、硬質色鉛筆の需要がどんどんなくなり、陳腐化させたのです。一方で陳腐化させられたのがアニメ業界の原画です。今回は、生産が継続する事になりましたが、これがいつまで続くかわかりません。最終警告といってもいいかもしれません。進む道としては、硬質色鉛筆を自分たちで開発できる体制を新たに作るか、デジタル化の波に乗って原画もすべてデジタル化するかの2択になるのではないかと思います。前者であればまとまった資金が必要となりますし、後者であればそれこそ猶予はないでしょう。

Graphic designer using digital tablet and computer in office orこれまで色々なアニメ会社でデジタル作画への転換を試験的に試みましたがなかなかうまくいった例はありませんでした。しかし、あるアニメ会社では、あと一歩のところまで来たそうです。1部署をまるまるデジタル作画担当にするために、その部署のフロアから一晩のうちに紙と鉛筆を完全に撤去させたそうです。そこまで徹底させて軌道にのるのに約3年かかったそうです。技術面で言えば、鉛筆と変わらない速さとクオリティーまで持っていく事ができるようでしたが、赤字が続いたそうです。しかもこの3年間で育成できたのは原画マンまでで作画監督まではできていないそうです。やはりすでに鉛筆書きで慣れている作画監督にはデジタル作画への対応が難しいため、一から育てて至ったため、まだ原画マン留まりという状況でした。しかしながら最終工程をみる作画監督が手書きという状況ではやはり効率が悪くなってしまうそうです。

今回は、生産が継続されることとなり、ほっと一安心かもしれませんが、デジタル作画回すためには、かなりの時間を要します。年間250本以上や100タイトル以上のOVAや劇場版をこなしながらのデジタル作画への転換は相当厳しいと思います。ですが、いつ硬質色鉛筆の生産が完全に終了し、なくなるかわかりません。それが3年後なのか1年後なのか、それとも半年後なのか、三菱鉛筆の経営者の判断に委ねられているという状態です。その時のためにも今のうちからできる限りの手は打つべきだと考えます。

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