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2016.06.11 ゲーム ニュース 海外モバイルゲームはコンシューマー、オンラインファンゲームファンを取り込めるか? サイバーエージェント調査から見るモバイルゲーム欧州市場

2016-05-24 10.53.38サイバーエージェントが調査データを公開

2016年5月24日付けのSocial Game Infoで公開された記事によると、欧州主要4カ国のモバイルゲーム市場動向が、市場調査レポート作成、販売業者のシード・プランニングと、デジタル市場・産業領域の調査・評価機関であるデジタルインファクトの共同で調査され、公開されました。

https://gamebiz.jp/?p=161953

(引用開始)

昨今欧州は、世界的なヒットタイトルを生み出しているモバイルゲーム会社を輩出しています。世界的ヒットタイトルとなったカジュアルゲームやストラテジーゲームの登場と大流行によって、男女を問わず幅広い世代にモバイルゲームの普及が進みました。

近年はアプリ内課金を採用したゲームの課金需要が急速に拡大、該当地域における市場成長をけん引し、2015年の欧州主要4カ国のモバイルゲーム市場規模は3,443億円、対前年比119%と推測されます。

ビジネスモデル別では、グローバル市場のトレンドと同様に、フリーミアムモデルを中心に市場形成されており、その比率は年々上昇傾向にあります。一方、一部のIPタイトルやスポーツタイトルなどにおいてプレミアム性の高いゲームがダウンロードモデルを採用しており、一定のユーザーからの支持を得ています。

(引用終わり)

For Freeフリーミアムビジネスモデルは基本的なサービスや製品を無料で提供したのち、さらに特別な機能などについては追加で料金を課金するという仕組みであり、英語圏ではビデオゲームの場合、フリー・トゥ・プレイと呼ばれているそうです。このフリー・トゥ・プレイのビジネスモデルは今やスマートフォンゲームの代表的な形式になっており、作品自体が有料であるというゲームは珍しいという状況です。ゲーム作品そのものに値段がついているものは、すでにコンシューマーでヒットを記録した「ファイナルファンタジー」やPCで人気の「マインクラフト」などが挙げられます。記事によればその傾向は上昇傾向であるとのことです。また、知名度の高いIPを使った作品ですとダウンロード数やゲーム内課金が増えます。パズドラがカプコンのIPを使ったコラボレーションを盛んに行ったり、任天堂がMiiのアプリ「Miitomo」をリリースしたりして成功している事例からも自明です。

10705076957426972865830020欧州の市場動向

2012年頃から市場が成熟しきっていない東南アジアへ先行者利益の効果を狙ってか、ゲーム企業がこぞって拠点を設けていました。その頃からすでに欧州ではゲーム市場は成熟しているため、新規開拓先が東南アジアに選ばれたのでしょう。しかしゲーム市場が未熟であるということは国ごとにユーザーの動向が読みにくく、東南アジア地域をひとくくりとしてマーケティングを展開しにくいという欠点があります。ゲーム市場が成熟をしているということは、新規コンテンツとして売り出すにはハードルが高いですが、国民がある程度ゲームに関心があり、それでいてゲームのトレンドが発生しますからどのようなゲームが遊ばれているのかという動向を探りやすいという長所があります。

(引用開始)

ヨーロッパ主要4カ国のうち、モバイルゲームの市場規模は2015年時点で英国市場(1,272億円)が最も大きく、ドイツ(995億円)、フランス(793億円)、イタリア(382億円)と続いています。

欧州では、国ごとにユーザーのゲーム消費傾向や商習慣が異なる東アジア地域とは違い、ユーザーのゲーム消費行動は、各国比較的共通した市場特性がみられます。また、利用端末については、東アジア地域と比べタブレットの利用比率が高いことも特徴です。

(引用終わり)

growing business graph drawn by human handモバイルゲーム市場で重要になるのはスマートフォンやタブレットなどの電子情報端末の普及率と、クレジットカードなどの電子決済の普及率です。イギリスはダントツでこの二つの普及が進んでいることや、英語圏なので新しい技術をいち早く取り入れることができるため、英国のモバイルゲーム市場は1,272億円とダントツでトップです。主要4カ国の中でドイツとイタリアの普及率が低いのですが、サイバーエージェントの予測はポジティブです。ドイツはPCゲームの人気が根強いうえに、ボードゲームやアナログゲームのクリエイターが数多く存在し、アナログゲーム大会やイベントが多数開催される世界で有数のゲーム好き国家です。シンプルなゲーム構築はモバイルゲーム開発と親和性がありますし、Androidユーザーが激増中とのことなので成長が見込めます。
フランスは主要4カ国中一番小さな市場でありながら、モバイルゲームの主要な収入源であるゲーム内課金が高く、女性の利用率も多いのでカジュアルゲームやライトな層へのフリーミアムモデルを効率良く行うことで市場拡大が見込めるとのこと。カジュアルゲームは爆発的なヒットを狙うことが難しいジャンルですが、フランス固有のIPを使った作品などを開発することで、緩やかな成長が期待できます。

Tablet computer with video gameタブレットへの移行はコンシューマー向けファンを取り込めるか

東南アジア地域との違いは様々ありますが、使われている端末にタブレットが多いということは注目しておくべきでしょう。日本の場合モバイルゲームはスマートフォンによって普及していますが、海外ではタブレットによる普及ということで経緯が違います。タブレットの利点としては端末そのものの情報処理能力が高いことと、スマートフォンと比べて大きな画面でゲームを遊ぶことができるので、コンシューマー向けゲームに負けず劣らずの作品を提供できる可能性があるのです。プレイステーションなどの作品であれば、すでにファイナルファンタジークラスのボリュームある作品がSteamやiOSなどに移植されています。

ただし、ボリューミーなゲーム、特にRPGはフリーミアムとの相性が悪いという問題があります。RPGなどの場合は追加シナリオなどをダウンロードコンテンツを有料で販売するという手段がゲーム内課金の設定方法であると思われますが、追加シナリオは通常ゲームを遊び終わった人たちに向けたオマケとして販売されることが多いのです。遊んでいる途中からいくべき場所が増えたり、キャラクターの外伝的なストーリーを追加してしまうと、テンポが悪くなり、最悪プレイヤーは混乱してしまいます。さらに、無料の場合、最後まで遊ぼうという意欲は削がれる可能性があるので、いくら人的コストをかけてハイクオリティでボリューミーなゲームを作ったとしても追加コンテンツを遊んでくれる人が果たしてどれだけいるかという問題があるのです。

three smartphonesカジュアルゲームでの売り上げを基本としていきながら、そうしたコンシューマーやオンラインゲームファン向けの作品を作っていくことにはなりそうなのですが、タブレット端末は据え置きハードほど高性能ではありませんし、PCのように後からカスタマイズしていくことは現状不可能です。多少のシェアは獲得できるようにはなるとは思いますが、カジュアル偏重の市場として成長することは今後も続きそうです。Bluetoothのコントローラーが流行し、プレステ世代のビッグタイトル移植によるリバイバルが成功するというようなくらいのインパクトがなければ、コンシューマー、オンライン向けのファンが、その層をターゲットにしたカジュアルゲームに興味を持って、すぐに去っていくの繰り返しになりかねません。

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