アニメ 深夜に放送する理由が分からない『ふらいんぐうぃっち』の凄まじいゆるさ! 難民アニメとなるか?


20160425-12ふらいんぐうぃっちの恐るべき日常感

(画像は公式サイトより)

石塚千尋さんによる漫画「ふらいんぐうぃっち」を原作とするアニメが放送中です。ニコニコ動画での第1話再生数は現在485,258再生(2016年4月現在)、ランキング順位は瞬間最高2位を記録するというまずまずの滑り出しながら、そのゆるさが話題になっています。

「15歳になったら独り立ちをして家を出る」というしきたりに従い、横浜から青森県のまたいとこの家に居候することになった主人公の小幡真琴の、魔女修行の日常を描く作品です。私も3話まで視聴しましたが、作品全体を包む優しげな雰囲気は、なぜ深夜アニメなのかと思ってしまうほど。夕方くらいにやってほしいアニメです。魔女としてダメダメの主人公が健気に頑張る姿は可愛いですし、それを暖かく見守る同級生やいとこたち、個性的なキャラクターが勢揃いしている本作品は、我々現代人のオアシスといっても過言ではないでしょう!

ところで、このような癒し系アニメや日常系アニメが放送されると、「難民」と呼ばれる人たちが現れる可能性が高いのですが、今回のふらいんぐうぃっちも難民を生み出してしまうのではないかと私は危惧しているのです!

New day難民発生は日常系アニメのステータスか?

ここでの「難民」は政治的、その他の理由により母国を追われた、逃れた人々という国際問題的な意味合いでは使われません。「難民」カルチャーとつながりが深いニコニコ動画のレファレンスサービス、「ニコニコ大百科」によると、「主に日常系アニメの最終話以降や、ゲーム・サイト等のメンテナンスにより居場所を失い、やり場のない思いに苛まれながら彷徨う者達」と書かれています。

アニメ好きならばおそらく、日常系アニメでなくても体験したことのあるような喪失感をずっと持ち続けてしまうということでしょう。そして日常系アニメ難民は基本的に新作の日常系アニメを待ち望み、転々としていく習性があるとのこと。また、ニコ動やTwitterなどにおいて、喪失感を味わっている人たちが自然発生的に緩やかなコミュニティを作り、特徴的な言動を繰り返すことなどで知られています。「キルミーベイベー」や「ゆゆ式」など、独特な世界観プラス日常系という作品が終了した際は、「キルミーベイベーは復活する」「ゆゆ式は復活する」というユニークなつぶやきがTwitterで流行するなど、ちょっとしたムーブメントになっておりました(なおどちらも新作という形では復活はしていません)。

日常系アニメがヒットしたのかという一つの尺度に、「難民」が発生してしまうということは一つ言えるのではないでしょうか。であるならば、今回のふらいんぐうぃっちも「難民」を発生させることができるか否か、個人的には注目をせざるを得ません。ネット上ではちらほら、「難民救済アニメ枠」との声もあります。

shutterstock_275114744-330x218息の長い日常系アニメがそろそろ出てきてほしい

難民アニメというのは一言で言ってしまえば「終わるのが惜しまれるアニメ」であり、ファンの持っている切ない感情が、各々それをジョークに昇華することによって寂しさを紛らわしたりするのでしょう。「難民」は宣伝にも一役買っているといえます。SNSやニコ動のコメント欄などでは、全く興味のない人たちであっても、難民の盛り上がり方次第では効果的に作品に対する興味を持たせることができるでしょう。実際に難民たちの声が届く例(2期や再放送など)もあるにはありますし、消費行動を促すファンのムーブメントとして重要な手がかりとなる可能性があります。それに、我々日本人は日常系アニメに対してそれほど苦手意識を持っているというわけでは無いのでしょうか。今でこそ1クール2クールという括りでアニメの作品は回っていますが、最強の日常系は何十年も放送しています。そうです、サザエさんやちびまる子ちゃんなどは、終わりの見えない日常を何十年も生き続けています。予算や原作ストック、制作サイドの熱意があれば、もしかするとこのような「萌え」が多少入っている日常系アニメの中からも、サザエさんやちびまる子ちゃんのように息の長い作品が現れるかもしれません。
toiawase-1024x226-1