遊技機業界 関係各社100社以上聞いて回った現状と今後について

Men pointing the tablet during a meeting業界を回ってみて

記事を読んでいただきありがとうございます。今回は遊技機業界における相次ぐ規制によって業界全体のプロジェクト数が一気に減少し、仕事が外注先にいきわたらないどころか、元請けの会社でさえ、新規案件の立ち上げに困ってしまう状況となっています。そんな中、遊技機メーカーや遊技機の液晶開発、映像制作を行っている元請け、孫請けの会社を100社以上回って集まってきた情報を今回はお届けしようと思います。

私の個人的な感覚では、全般的に業界全体が冷え込んでいて、ホールにくるお客さん自体も減っていくのではないかと危惧している方が一番多かったです。液晶開発という仕事面でもさることながら、ホールにくるお客さん自体が減ってしまっては台も売れなくなってしまうので、この先どうなってしまうのだろうと暗澹たる表情の方が数多くいました。営業の移動中にパチンコ店があればどれぐらいの人数が席についているかをよく見ているのですが、確かにホールの稼働状況はここ数年で2割減ぐらいしているのではないかと思います。特に荒れた台が今後出しにくくなっていくことで、一気に投下資本を回収できるということも少なくなり、地道に長時間台に座り続ける必要に迫られると、まず会社帰りのサラリーマンは行くことができなくなります。行って仮に当たったとしても回収する前に閉店の時間がやってきてしまうからです。そうすると主婦か仕事を引退した高齢者ないしは、無職の人しか平日に行くことができません。土日はサラリーマンもうちに来る可能性はありますが、前ほど大当たりを期待しにくくなっている以上、時間つぶし程度にしか来なくなる可能性が増えます。するとホールとしては経営的に相当厳しくなっていくことになります。

今回回収することになったパチンコ台はいずれもMax機と呼ばれる荒れた台ですし、それを回収されてしまって代わりに配置される新基準機では、ユーザーを満足させることはなかなか難しいでしょう。メーカーもいろいろな工夫をもってして現状の法律に抵触せずに回避する方法を見つけるかもしれませんが、それもイタチごっこにしかならないので、結局のところユーザー離れが進んでいくこと自体はやむを得ないと思います。

Financial crisis生き残りをかけるメーカー

業界各社についてプロジェクト数の減少が見られます。それもかなりの数減少しているメーカーがたいていで、さらに拍車をかけるように発注単価や人月に直した時の単価が2~3割減っています。さらに発注の期間についても、これまでのような納品までの一連の発注を初回でまとめてしまうのではなく、月単位で細かく発注をするという会社も出てきました。いろんな開発会社が仕事がないかとか企画を持ち込みたいと相談に来るけれども、今は出せる仕事がないよという回答がほとんどで、どこもかしこもプロジェクトの数を絞っているんだなという状態です。あるプロデューサーに最近の状況を聞いてみたところ、こんな話を耳にしました。

パチンコの内規がまた夏頃変わる予定があり、それが見えてこないと作りこむことができないので、立ち上がったプロジェクトについては、その部分を後回しにしてそれ以外の部分の開発を進めています。とはいえ、以前ほどたくさん作ってどれか当たればいいという発想はなく、一つ一つ丁寧に作りつつ、開発自体をどこがやるかによっても厳しくチェックすることがこれまでよりも格段に増えました。さらに版権に関しても相当有名な版権じゃないと買わないし、買ったところで売れるかどうかもわからないので、かなり厳しく見てます。

どこのメーカーのプロデューサーに話を聞いても似たような状況であり、会社によっては社長自ら現場に降りてきて指示を出している場合もあるようです。そのため、急きょラインがストップして、開発会社から不評を買っていることもあると聞いています。開発会社側からするとたまったもんじゃないですが、それだけ遊技機メーカー側も必死になっていいものを作ろうとしているのだなと思います。

Fotolia_100938244_Subscription_Monthly_M選択を最も迫られている開発会社

メーカーのところでも書きましたが、仕事を受けること自体が割に合わなくなってきていて、今後も遊技機業界での仕事を継続するのか、それとも他業界の仕事をメインにしていくのか、決断を迫られている下請けは多数います。一方で、元請けであって、遊技機開発を真剣に0から行っている会社については、仕事が結構出ていたりする場合もあります。ただし多くの開発会社に共通して言えることなのですが、プロジェクト数が不足している状況においても遊技機案件を継続的に受注できている会社は営業に強い会社だけです。もしくは遊技機メーカーと深いつながりを持っているがために仕事を継続して受注できているという話も聞きます。そういった会社ではこの不況下における案件情報の少なさをものともせず、スタッフをどんどん増やしていきたいと言っています。

これまで遊技機とゲームの案件の比率が8:2であったり、7:3であったのに、今年に入って完全に真逆になったという会社も多くあります。それだけ生き残りをかけて各社がしのぎを削っていると言えるでしょう。今年はしばらく様子見でゲームの案件を増やしながらも耐えしのいで、来年どうなっていくのかをじっくり見据えたうえで、状況に応じて判断していくという会社さんもありました。結局のところ多くの開発会社でゲームも対応できるのであればそれが無難な選択肢なのかもしれません。転換期にこそチャンスの芽は眠っていると思いますが、リスクを冒してまで積極的に攻めの姿勢を維持できる会社はまずないといってもおかしくないでしょう。

逆にゲーム系は手掛けたことがなく、遊技機専業であった場合については、つぶしのきく3DCG制作はいいとして、それ以外の組み込みであったり企画であったり、遊技機に専門特化してしまったがために現在の状況に対応できません。だからこそ、事業として縮小するか売却するかぎりぎりまでねばるか、いずれのうちのどれかを選択している場合がほとんどです。

どこもいい話は少ないですが、これまでの経験を活かしながら新しい可能性を見出して近いけれども直接的には関係のない業界で仕事を受注し始めた会社もあります。ツールはそろっているのだからそこから大きく逸脱しない範囲で世の中を見ていけば、きっとスキルや経験に合致する仕事があると思います。ピンチをチャンスととらえて、自社に大きな変革をもたらして業界に革命を起こす会社が少しでも増えればなと思います。

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