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2016.02.19 アニメ 中国資本アニメ到来「聖戦ケルベロス」製作でみるアニメ業界の将来性、増える中国資本、減る日本アニメ

今回は、アニメ会社向けのお話になります。一昨日の2月16日、人民網より「愛奇芸と日本が共同でアニメ「聖戦ケルベロス」を製作・放送」という記事が掲載されました。

愛奇芸と日本が共同でアニメ「聖戦ケルベロス」を製作・放送
https://j.people.com.cn/n3/2016/0216/c206603-9017277.html

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引用始め
中国の動画サイト・愛奇芸(アイチーイー)が主導となり、日本のテレビ東京と共同で製作するアニメ「聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ(中国名:龍心戦紀)」が3月から、愛奇芸やテレビ東京で順次放送されることになった。中国のアニメ新勢力がアジアの市場で初めて声を上げる。北京日報が報じた。
「聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ」は、ソーシャルゲーム大手・GREEの大人気ソーシャルゲーム「聖戦ケルベロス」を原作としている。愛奇芸が先行出資し、「アニメ委員会」を立ち上げ、テレビ東京やGREE、Medialinkが仲間に加わった。同4社からなる「アニメ委員会」は、共同で同アニメの製作、放送を進める。うち、出資額が最大の愛奇芸が、同プロジェクトの中華圏における開発計画を主導する。

引用終わり

スクリーンショット 2016-02-18 20.39.15アニメの製作費用

アニメ制作において、日本では「製作委員会方式」が取られています。30分のTVアニメの場合、1クール(12話)を製作する場合、1話あたり1000万から1500万円ほど、総額で、1億2000万から1億8000万円ほどの出資を必要とします。そのため、1社のみで出資することが難しいため取られたのが、この方式です。複数社から出資を募り、その資金を使って、アニメの元請会社をたて、アニメ製作を行っています。もちろん出資額に応じたアニメ製作における発言権と収益の配分はありますが、外れた場合のリスクも分散することができます。

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日本と中国のGDP

今回のアニメ製作において、見ておかなければいけないのが、中国の企業の愛奇芸によって製作委員会が立ち上げられ、出資額も最大だったため中華圏におけるプロジェクトの主導権を取られてしまったということです。そして、もしアジア市場での収益性が日本よりも良かった場合、中国の資本で本格的なアニメ製作に乗り出してくるでしょう。GDP的にも日本が4.60兆ドル、中国が10.35兆ドル(2014年 世界銀行)とほぼ倍です。その一方で、国民一人当たりのGDPは、日本が36194ドル、中国が7590ドルと日本の方が5倍近く高いです。逆に言えば、中国の格差は、日本よりもはるかに大きく、中国の大企業は日本の企業と比較にならないほどの資金力を持っていることを示します。

スクリーンショット 2016-02-18 20.55.09原作「聖戦ケルベロス」に関して

今回の原作となった「聖戦ケルベロス」ですが、ソーシャルゲームとして、進撃のバハムートを同じような、厚塗り、美麗系のイラストをふんだんに使ったソーシャルゲームとなります。そして、現在の日本のニーズは若干こちらからは離れた傾向があります。しかし、中国や韓国から見たらこちらの方が親しみが深いです。なにせ、中国や韓国のオンラインゲームは、もともとリアル頭身、リアルテイストのキャラクターを使ったオンラインゲームが多く、ユーザーももともと多かったこともあります。そのため、日本でこのような厚塗り、美麗系やリアル頭身のキャラクターを書く案件があった場合、日本のクリエイターよりも中国や韓国のクリエイターの方がうまかったり、速かったりするのです。

日本アニメと中国、韓国の関係

日本アニメは、昔から中国や韓国の動仕会社をつかって製作してきています。はっきりとした割合はわかりませんが、動画の半分近く、原画の一部は中国や韓国の会社へ外注をしているとのことでした。クオリティー面とでも動画や仕上げを専門にやっているということもあり、日本よりも安く、速く仕上げクオリティーもそこそこになります。

shutterstock_260400005そんな状況で海外のアニメビジネスが成立してしまったらどうなるか

現在は、人件費の問題や需要の多さで、日本から海外に出すことが多いです。しかし、中国でのアニメ市場の成長、人件費の高騰、アニメ需要の増加が揃えば、莫大な出資でアニメ製作に乗り出す企業も出てくるでしょう。そうなれば、中国からのアニメ製作の案件は今後、どんどん増加するのではないでしょうか。

そのような状態になった場合、出資比率はもちろん中国が最も大きくなり、製作の発言権も大きくなるでしょう。そうなってしまえば、たとえ原作が日本だったとしても、中国風のテイストに変えてしまうでしょう。なにせ、メイン顧客が中国やアジア圏の人向けとなってしまうのですから。それになんだかんだ言っても日本のアニメ〜ション技術は高いものがあります。特に日本のアニメーターのすごいところが、絵を似せるというところです。逆に言えば、何本かやっているうちに、中国風のテイストをマスターしてしまうということです。

shutterstock_270072170中国アニメの影響と日本アニメの将来性

最終的には、中国アニメの元請会社というポジションになっていき、中国からの仕事の割合が増えていくでしょう。そして、全盛期の遊技機並みもしくはそれ以上の予算になりえます。また同じアニメ製作ということもあり、遊技機のお仕事で最もリスクとなっていたリテイクの多さやスケジュールの遅延となることも少ないでしょう。そしてもしその予算感で仕事増えた場合、にほんのアニメ市場は潤うものの、日本特有のテイストのアニメはどんどん減っていくと予想されます。ある意味、現状の作品数を絞って、予算をかけ、クオリティーの高いアニメを作ることが可能でしょうが、日本のユーザーが求めているアニメとは違ったものでしょう。

shutterstock_128197724深夜アニメは中国アニメばかりに・・・

日本アニメは、クールジャパン政策による世界進出が先か、中国資本によるアジア市場の席巻と、日本市場への参入が先かで、日本独特のアニメがどうなってくるかが決まってくるでしょう。もしかすると政府からのアシストを待っているだけではもはや日本文化のアニメは守れない段階にまで来ているのかもしれません。その上でも日本の製作方法、販売方法等を抜本的に変え、出資会社やアニメの会社に出資に応じた額がバックするような新たなビジネスモデルが必要となってくるのではないでしょうか。また、コンテンツを見る側としても本当にこのままでいいのか、もしかすると日本アニメは劇場版のみ、再三の取りづらい深夜アニメは中国アニメに取って代わられるかもしれません。

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