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2016.02.03 フィールズ 決算から見るIP展開成功の可能性とリスク

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先日、フィールズの営業利益が前期の65.9億赤字から21.6億黒字に大幅転換したというニュースが流れました。

フィールズ、3Qは営業損益が前期の65.9億円の赤字→21.6億の黒字に大幅黒字転換 ソーシャルゲームは期中に2タイトルをリリース

フィールズと言えば、パチンコ・パチスロやソーシャルゲーム、コミック、アニメ、実写営業作品と幅広いエンターテインメントジャンルで活躍の場を広げている会社です。上場もしているため注目されやすい会社ですが、ビジネスにおける多方展開はリスクヘッジになる一方で多大な体力が必要とされます。実際、前期は赤字だったフィールズが現在黒字の見通しがたった直接的な原因は何なのでしょうか。

Fotolia_61949633_Subscription_Monthly_M前期が大幅赤字だった理由

フィールズは前期同時期の営業利益が65.9億円の赤字でした。理由の1つに遊技機規制が上げられます。遊技機による利益はフィールズの事業の中でも特に主力だったために、リリース延期はそのまま販売台数の減少に繋がり、見込まれた売上が上がらなかったことが最も大きな原因です。その代わり2016年3月期の第3四半期累計(4〜12月)では遊技機販売台数が前年同期から43.7%増えています。パチンコは前年同期から7.4%増、タイトルも前年は5タイトルだったものが今回は8タイトル、パチスロも前年同期は2タイトルだったものが9タイトルに増え、販売台数は164.6%増しです。規制が無ければ少し異様に見えるほど、販売台数は急増しました。

このようなイレギュラーな流れはそう毎年あるものではないので、例えば来期になればタイトル数も販売台数も目減りするかもしれません。遊技機というジャンルにおいてはその傾向は如実に表れます。しかしその他のビジネスについてではどうでしょうか。フィールズは遊技機以外にIP系(版権もの)ビジネスやソーシャルゲーム、映像といった事業を始めています。前期の決算資料を見てみると、IPビジネスについてはこれから力を入れること、IPビジネスを自社発信で行うために「月間ヒーローズ」(フィールズの発行する雑誌)でIPを開発し育てているということがわかります。しかしこの頃はゲームに関して新規開発など大きな動きはありませんでした。

abudeka多面的展開のヒントとなるIP運営

遊技機の開発が行われている一方でゲームの制作事業に力が入ったのが前期後半です。2015年12月には2タイトルをリリース、元からあった「AKB」シリーズと合わせて現在は8タイトルが運営されています。ガチャや新規イベントのニュースも2015年後半には度々流れており、運営にかなりの力が入っている様子が窺えます。また前期の決算資料で「IPビジネスに力を入れる」とあった通り、これから「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」と「灰と幻想のグリムガル」のTV放映を予定しており、加えて多方面への展開を予定しているということです。

遊技機の開発は、正直な話全体的に復活の兆しはまだ遠いようです。遊技機規制が入ったことで大手メーカーが開発本数を減らしたり、すぐに対応できるよう内製に切り替えたりという変化が今でも尾を引いています。フィールズはメーカーとしても遊技機以外にIP系の運営に力を入れることで、多面的にビジネスを展開出来るように対策を取っていると言えます。以前アニメ業界と製作委員会について説明した下記の記事にも書いたとおり、「アニメ」等の作品は今やビジネス展開の中の1つであり、それだけで完結するよりはグッズや二次利用作品を充実させて売上を上げるという方法が確立されつつあります。現在IPものとして一躍人気を伸ばしている「おそ松」さんは、DVD、Blu-rayの初動売上が8万枚近くにまで伸び、2015年秋アニメのDVD1巻売上1位を記録しました(売上2位は終物語で、約2.7万枚)。同アニメのED曲も8万枚を超えた売上となり、関連イベントは満員。IP展開の好例となりつつあります。

フィールズのIP育成が今後どういった結果となるかはまだわかりませんが、早くも現在映画公開中のヒットシリーズ「あぶない刑事」とのコラボレーションを発表するなど、広い層に向けてアプローチをかけています。ただの遊技機展開、ゲーム展開、グッズ展開を型通りに行うのではなく、ファン層を積極的に増やしてゆくフィールズのIP展開は、これから自社コンテンツを作りたいという会社さんにとってかなり参考になるのではないでしょうか。

Young businessman standing on edge of rock mountain and looking多面展開のリスクとは?

もちろん、どんなビジネスにでもリスクの側面はあります。これまでも大手企業とコラボレーションしたり、有名脚本家・監督を起用したり、町おこし的な要素を入れてもイマイチ・・・というアニメや漫画は複数ありました。理由としてファンが「ストーリーよりも内的要素(コラボレーションや町おこし)を重視しすぎている作りが鼻につく」と気づいてしまうものがあります。このあたりは制作の具体的な話になってしまうのでどうしても断言がしにくい領域にはなりますが、人気のある原作、著名なスタッフ、有名企業とのタイアップがあっても、全てのIP展開がうまく行くわけでは無いということはいつでも言えることです。その差は何か・・・?と言えば陳腐な答えでいえば「愛」になってしまうのかもしれません。しかし、コンテンツのヒットは計算ではじき出せないところが一番ビジネスとして面白いところです。それであればIP展開をされる方には、出来る限り「儲かるコンテンツ」より「愛のあるコンテンツ」を目指していただきたい・・・と、いちアニメファンとして真摯に願っています。

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平田 ビ・ハイア株式会社副社長 » 詳細プロフィール

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